黙然日記(廃墟)

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古森義久氏と「奴隷」。

慰安婦は奴隷ではない」−−アメリカ人歴史学者が明言。-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/206055

 はいはい。古森ファンにはおなじみの(懐かしの?)NBR Forumで、歴史学者のEarl Kinmonth氏が「従軍慰安婦奴隷制の条件に当てはまらない」と発言したことを取り上げています。さっそくNBR Forumを見に行ったのですが、Kinmonth氏は現在、日本の引きこもり問題と沖縄集団自決の議論には熱心に参加していますが(というか掲示板自体がその二つのテーマで盛り上がっている)、6月1日の記事までさかのぼっても慰安婦関連の発言なんかしていません*1。おかしいなと検索してみたら、古森氏が今日のエントリで引用した発言は、3月14日のものでした。

NBR'S JAPAN FORUM (POL) Tessa Morris-Suzuki on comfort women
http://www.nbr.org/foraui/message.aspx?LID=5&MID=27826

 ていうか実は、原文を読まなくても古森氏のエントリの中だけで矛盾がわかるのですが、Kinmonth氏が挙げた条件は18世紀以前の奴隷制が認められている社会での定義であって、21世紀あるいは少なくとも20世紀前半には認められていた現代の人権問題としての違法な奴隷の定義とは違います。要するにKinmonth氏の発言はものすごく頓珍漢なもので、Forumでもほとんど相手にされていません。


 それにしても、何度説明しても古森氏は、現代における「奴隷("slavery")」あるいは「性的奴隷」という言葉を理解してくれないようです。どのような意味なのか、とりあえずわかりやすいところから引用します。

性的奴隷 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E5%A5%B4%E9%9A%B7
現代においては、いわゆる奴隷関係の存在を前提とする場合だけではなく、広汎に被害者が継続的な性的行為を強要される場合を指しても用いられている。

 古森さんは“左翼のフォーラム”Wikipediaがお嫌いでしょうから、米国国務省のサイトにあるレポートも紹介しておきますね。

2005 Report / Victims of Trafficking and Violence Protection Act of 2000: Trafficking in Persons Report
http://www.state.gov/g/tip/rls/tiprpt/2005/

 人身売買に関するこの長文のレポートで、"slavery"という単語が何度も使われています。まさか古森さん、米国務省が間違っているとか言い出さないでしょうね。

*1:例の意見広告「THE FACTS」のことも話題になっていなかったので、ちょっと驚きました。あの意見広告の内容には古森氏の虚報をソースにしたものがあって、それがチェイニー副大統領をはじめ米国人の神経を特に逆撫でした部分らしいので、古森氏の感想をぜひ聞いてみたかったのですが。