黙然日記(廃墟)

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憲法70歳の産経抄。

産経抄日本国憲法が70歳 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して… 北の3代目が喜びそうな夢物語の美文だ 5月3日 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170503/clm1705030002-c.html

 なんかもう、読まなくてもわかっちゃうというか、コラムというものに向いていないこの筆者はそのうち本文と見出しの比率が逆転するのではないでしょうか。コラムとしての出来もめちゃくちゃで、《総領の甚六》の比喩がなんにもなっていません。どっから思いついたんだ。
 憲法前文が、《平和を愛する諸国民》と、そうでないファシズム国家の二者を前提としていることは、口が酸っぱくなるほど説明してきました。ドイツの基本法が200回改正され、しかし「国民主権」「基本的人権の尊重」あと「反ナチス」あたりかな、基本条項に手を付けてはならないと規定されていることに、抄子や西修氏ら改憲派は口を拭い、自民党憲法草案や産経憲法草案のような醜悪な代物を出してきます。あと、日米安保の片務性とかいう妄言も、日本国土内の(沖縄限定ではありません)基地提供という大きな負担を払っていることを無視しています。
 改憲議論は膠着状態ですが、それは主に改憲側(自民党、産経など)が現実を無視した論理に執着しているからです。ニュートラルに「憲法とはなにか」「平和とはなにか」を学びなおせば、必要な範囲での憲法の衣替え(環境権など)はあっさり実現できるのではないですか。これは民法改正論議に似ています。両性の結婚年齢を18歳で揃えることなどには誰も反対していないのに、選択的夫婦別姓に感情的な反対をする頑迷な保守派のために、前に進みません。選択的夫婦別姓反対派と自主憲法制定派はなぜかほぼ重なりますが、要するにごく一部にすぎない彼らに常識がないために、重要な物事がまったく進まないというだけの話なのです。