黙然日記(廃墟)

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産経コラムの我が身と他者。

 明日以後、産経の反応をネタにすることになると思いますが、とりあえずメモ。
 富士山信仰や紡績業の誕生発展と違って、「明治日本の産業革命」というくくりがおおざっぱすぎて、一括しての申請には違和感がありました。富岡製糸場はその一部じゃないの? 「重工業革命」ではないよね? 申請するなら北九州と東北は別々にすべきでは? とか。
 韓国の反対についても理解できる理由で、「時代が違う」という反論もありましたが、前半が光の歴史でも後半に闇の歴史を抱えているという認識は必要でしょう。日本人を含め労働者の酷使によって日本の重工業かが(日本に限りませんが)成されたことは、文化遺産のひとつの側面として伝えられねばなりません。世界文化遺産が光の歴史だけにスポットを当てるものでないことは、アウシュビッツ収容所や原爆ドームが初期に登録されていることからも明白です。
 韓国政府の態度がおかしい、一度協力するとした約束を土壇場になって反故にしようとしてごねた、という不満があるようですが、日本政府は誠実だったのでしょうか。韓国側の「負の歴史も明記する」という要求に応えて申請を修正したのかどうか、報道からはわかりませんでした。ツタ、土壇場で反対すると表明したわけでもなく、負の歴史の存在をアピールするとしただけなのですから、それは受け止めるのが誠実さというものでしょう。

【編集日誌】わが身なら…拉致解決へ行動すべき時 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150705/clm1507050006-c.html

 「我が身なら」という想像力が決定的に欠けているのが、産経新聞安倍晋三政権です。都合の筒ときだけ他者にそれを求める都合の良さに、うんざりします。