黙然日記(廃墟)

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バロックはゆがんだ真珠。

 watchのネタがないので、恒例、関係ない話です。しかも小ネタを並べて行数を稼ごうという。
 古楽というのがありますね。昔の楽器を再現して、チェンバロとかヴィオラ・ダ・ガンバを使って楽譜どおりにゆったり演奏して、どうですマターリするでしょう、みたいな。それはそれで、実験としてやってみるとか、朝6時台のBGM的ラジオ番組としてはいいんですが、それが絶対だ、みたいな態度はどうかと思います。18世紀あたりのサロンミュージックというのは、貴族が部屋に閉じこもってする遊びだったわけです。大聖堂でのパイプオルガンと大合唱隊の時代から、市民ホールでの大編成オーケストラの時代に至る狭間の、室内楽中心の時代ですね。サロンミュージックでは、即興演奏はもちろん、他人のパロディをやったり、譜面をひっくり返したり、「俺の尻を舐めろ」と言い出す馬鹿がいたり(神童のことです)、そりゃもうなんでもアリだったんですね。装飾音をつけまくって毎回違う演奏をしていた、という説もあるわけで、「現在やっている古楽」だけが古い音楽として正しいわけではないだろうと思います。モーツァルトはジャズアレンジした方が正しいかもしれません。
 別の話。ヨハン・セバスティアン・バッハが若いころ、当時の偉大な音楽家だったディートリヒ・ブクステフーデに会うため、400kmの道のりを徒歩で旅行したということが、いかにも大変な出来事のように語り伝えられています。しかし400kmといえば、江戸から伊勢ぐらいの距離ですよね。なんのことはない、バッハのお伊勢参りです。