産経「主張」の言論の自由濫用。
ぼやぼやしていると連休が終わっていてびっくりします。2日後に書いています。
【主張】元朝日記者提訴 言論の自由に反している:イザ!
http://www.iza.ne.jp/kiji/column/print/150110/clm15011005040002-c.html
こーれーはーひーどーいーな。従軍慰安婦について問題提起した元朝日新聞記者が、彼に対して個人攻撃を繰り返した雑誌記事とその著者らを訴えた裁判について、「訴えるのはおかしい」と主張しているのですが、おかしいのは産経の主張です。まず元記者の20年前の記事について、詳細にわたる事実誤認はあったにせよ、従軍慰安婦問題を社会的に提起した意義が大きいことは改めて指摘しておきます。それを否定したい、従軍慰安婦問題をなかったことにしたい雑誌記事や産経「主張」側は、元記者への個人攻撃に走りました。その結果、家族や勤務先への脅迫といった深刻な人権問題が生じたため、謝罪を求めたのが今回の裁判です。産経はまず、雑誌記事と脅迫の関連を認めない立場で論じていますが、関係があるのは明らかです。「裁判で訴えられるのは言論の自由を侵す」というのは、名誉毀損訴訟で連戦連敗している産経新聞の悲鳴ですか? 言論の自由が、名誉毀損や脅迫の誘導の防止に制限されることは、いまさら言うまでもありません。
最後にこの「主張」は、よりによって仏紙襲撃事件を引き合いに、《テロの誘発を記事に求めることが認められるなら》、と来ます。風刺という名の批判をされた(と思い込んだ)側がテロを起こした仏紙襲撃事件と、雑誌記事が個人攻撃を煽った元朝日記者の事件では、方向性が真逆です。テロや脅迫を煽る、煽りかねない言論が制限されることは明確でしょう。産経「主張」による問題のすり替えは明らかで、これでは、仏紙事件を出汁に自らのイデオロギッシュな妖怪言論モドキを擁護する、言論の自由を悪用しおとしめるものとしか言いようがありません。ひどすぎます。