黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の都合良さ。他。

 5/31分です。産経新聞社の政治部次長が暴力行為で逮捕、というニュースがありました。記者としては当ブログでも何度も取り上げた人物ですが、プライベートな面までさらし者にする場所ではないので*1、ここまでにしておきます。期待された方がいたらごめんなさい。こういう話はねちねちやった方が面白いのです。

【主張】維新の会分裂 改憲路線の維持期待する(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140531/stt14053103320001-n1.htm

 自民党以外の政治勢力を、どこまでも都合よくしか解釈しない産経「主張」です。「第三極」という言葉の意味が、わかっていないのでしょう。日本維新の会大阪系にとって改憲は目的でなく手段であり、一方で東京系は自主憲法制定そのものが目的である(本末転倒していますけどね)ことを考えると、今回の「離婚」は必然であり、「改憲を軸にした再結集」などは少数派である東京側の都合に合わせた希望的観測に過ぎないことがわかります。《新たな「第三極」が注目されたのは、自民党とともに憲法改正を志向する立場を掲げたことからでもあった》。とにかく改憲派というか自主憲法制定派(憲法全面改定派)は、断固護憲派以外の、「わずかでも憲法変えていいよ」という勢力を見ると、無条件100%で自分たちと同じ立場だと思い込み、自分たちに全面的に付き従ってくるものと考える傾向があるようです。維新の会東京系代表石原慎太郎氏の個性と、産経新聞の社風が、たまたまそういうものとして一致しているだけなのか、憲法全面改定派の抜きがたい特徴なのかはわかりませんが。今回指摘されたように、憲法全面改定が伝えるメッセージは非常に危険なものであり、革命のとき以外はあり得ないものだということを、認識していないのでしょうか。あと、最後に民主党から(現)生活の党が分離したことを《大分裂》と表現していますが、そんなに大きなものだったでしょうか。

【一筆多論】戦争を起こさせないために 中静敬一郎(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140531/plc14053108300007-n1.htm

 中静大記者が、一人悦に入ってます。「二世帯住宅の住人である日本が、2階に鍵を掛け木刀を用意している(個別的自衛権)。もし強盗が入ったら、1階に住む兄(米国)が駆けつけてくれる(集団的自衛権)。そして1階に強盗が入ったとき、2階の住人が知らん顔はできない」という、冨澤暉氏(元陸上幕僚長)のたとえ話を引用してドヤ顔しているわけですが、まずどんな無法地帯に住んでいるんだその兄弟はとと思うのと同時に、たとえ話というのはいくらでも自分に都合よく作れるものだなあ、と。わたしがもう少し適切なたとえ話を考えるなら、「1階に住んでいるのは日本、兄は近くに別に本宅があり、兄の息子が用心棒を兼ねて2階に間借りしている」となるでしょう。そしてここが肝腎なのですが、「用心棒代と差っ引きで家賃は払っていない」のです*2。身内なのにそんなビジネスライクな関係でいいのか? と義理人情の話に持っていくことはできるかもしれませんが、とにかく現時点で貸し借りはないのだ、という点が重要です。議論にたとえ話を持ち出す人がいたら、要注意です。
 「シューダンテキジエーケンとか難しい話はよくわからないけど、戦争は嫌だ」という庶民の素朴な感情は、国を動かす基点、原点です。変なたとえ話を使って議論をねじ曲げ、「戦争ができる国」へと近づける動きは、国民主権を軽視した、二重の意味で憲法に反する動きです。

*1:念のため書いておきますが、コメント欄で容疑者の実名が書かれた場合、削除対象とします。あしからず。

*2:米軍は基地の土地賃借料を払っていますが、「家賃」というのもたとえ話なので。