黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の報告書観。

 5/15分です。音楽配信の隆盛により、人々は1曲単位で購入してしまいアルバム単位で聴かなくなった、と嘆かれますが、CD時代の後半もコンピ盤やベスト盤が全盛でしたし、1曲リピートに向いたメディアでした。SP時代はポップスにおいてアルバムという概念がなかった*1。LP時代もシングルの販売が先行していたわけですし、アルバム文化というのはLP時代のごく一時期だけだったんじゃないですかねえ。今でも「アルバム単位で購入」というメニューはあるわけで、音楽配信の責任ではないと思います。

【主張】集団自衛権報告書 「異質の国」脱却の一歩だ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140516/plc14051603360005-n1.htm

 ツッコミどころが多すぎるので、箇条書き状態になります。ご容赦を。本当は全部の段落にツッコミ入れたいんですが。
 まず見出し。なぜ産経は右派・保守であるくせに、祖国が特別であることを望まないのでしょう。
 中国のしていることが《力による現状変更を図る試み》なら、安倍晋三政権のしていることも「権力による現状変更を図る試み」です。受け入れられません。
 冷戦が終結したから米国の庇護は望めない、《今後も米国を強く引きつけておく努力が欠かせない》というのは、どれだけ属国思考なのかと。
 「日本人を乗せた米国船を自衛隊が防護するのは集団的自衛権に当たる」というのは、今回の議論で焦点になりそうな部分ですが、わたしにはまったくわからない理屈です。自衛隊が日本人を守るのは個別的自衛権でしょう。そこまで拡大解釈だとは言いません。
 産経は繰り返し、行使容認によって抑止力が向上すると唱えますが、その具体的な機序については明らかではありません。そう言いたいだけではないでしょうか。
 こうなると与党協議や閣議決定で歯止めを掛けられる公明党だけが頼りですが、産経の「公明党は11年以上政権を担ってきたのだから、責任を持って行使容認すべき」という論理は、もはやまったくわけがわかりません。連立政権というものを産経が理解していない、小与党は大与党の言いなりになるのが当たり前、という考え方なのは、いつものことですが。
 全体に、有識者会議の報告書提出と首相記者会見を受けて、あわててインプレッションだけ述べておいたという感じで、本格的に行使容認問題について論じるのは明日以降ではないかと感じます。それだけに、今日の「主張」は本音が現れていると見ることもできます。

*1:クラシックの交響曲などでは、1枚あたり4〜6分のSP盤を写真アルバムのような冊子に収め販売していたのが、「アルバム」の語源です。