産経、鼻血が出るほど興奮する。

　5/14分です。「環境編」に入ってから読んでいないんですが、そういえば朝日と読売が「リアル美味しんぼ」とかやってたらしいですね*1。真っ最中じゃなくてよかったよかった。

【浪速風】漫画だから影響が大きい（５月１３日） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140513/wlf14051311420006-n1.htm

【産経抄】福島を風評から救え　５月１４日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140514/trd14051403140004-n1.htm

【主張】美味しんぼ　独善で風評を助長するな - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140514/trd14051403200005-n1.htm

　夕刊一面コラム、朝刊一面コラム、社説と、産経新聞のこのエキサイトぶりはなんでしょう。『美味しんぼ』の作中では極亜テレビ・極亜新聞として金上鋭とともに最大の悪役という触れ込みで登場した（そのわりにしょぼかった）フジサンケイグループの産経新聞ですが、まさかその恨みでやってるわけでもありますまい。
　あえて言いますが、たかがマンガの描写ですよ。雁屋哲氏といえば70年代からヒットを連発してきたマンか原作者ですが、表現技法が『銀河戦士アポロン』の当時から変わっていないのではないかと感じています。山岡士郎の鼻血描写が主な問題とされたわけですが、「地元の方々の鼻血症状は放射線と関係あるかもしれないが、山岡の鼻血はチョコレートの食べ過ぎ」というオチになる可能性がかなりあります。問題になったからあわてて変更するのではなくて、ほんとに予定どおりのオチとして。103巻まで読んできて、そういうことを平気でやるマンガだということは痛感しています。話によると、原作はエピソードごとに完結するまで書くが、作画の花咲アキラ氏に渡されるのは1回の掲載分だけなので、なんでもない描写を大げさに描いてしまったり、その逆のこともあるようです。
　作品のことはともかく、極亜、じゃなかった産経の話です。雁屋氏の放射線や環境汚染に対する反応も過剰なところがあると思うのですが、それに反駁する産経の姿勢にも、異常なものを感じざるを得ません。原発推進、再稼働積極派の産経にとっては、放射能事故の恐怖を少しでも指摘されると逆上してしまうのかもしれませんが、「チョコレートの食べ過ぎ」ならば表現の自由の範囲内です。三つのコラムでほぼ同じ内容のことを書いてまで、まだ完結していない作品の描写に異を唱えるのは、端から見れば笑い物になるほどの過剰反応と言われてもしかたないところでしょう。
　純米酒や丸大豆醤油がどのスーパーの棚にも並ぶようになったのは、『美味しんぼ』の影響と言い切れます。それだけの影響力を持つ（持っていた）作品として、作者には福島の人たちの心をおもんばかってもよいのではないか、と指摘しつつ、やはり産経のコラム三連発には呆れるしかありません。

*1:公式サイトとかあるんだ。http://realoishinbo.com/