黙然日記(廃墟)

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産経レベルのバロメーター。

 4/12分です。

【一筆多論】言葉遣いは国防のバロメーター 榊原智(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140412/plc14041208490013-n1.htm

 子供のころ、「砂糖の消費量は文明のバロメーター」と聞かされました。紅茶中毒の英国かそれにコンプレックス(複合観念)を持つコーヒー中毒の米国の砂糖プランテーション企業が、緑茶好みの日本などに向けて行ったキャンペーンのたぐいだったのでしょう。いずれにしろ、今こんなことを言っている人はいません。というわけで、この手の言い方は信用していません。そもそもこの見出し、なにが言いたいのかわかりません。「言葉遣いは国防意識のバロメーター」ならまだわかりますが、いずれにしろ「言葉遣い」は可算的な量ではありません。榊原記者に対して、「言葉遣いは新聞記者のレベルのバロメーター」と言いたくなります。
 内容は、集団的自衛権行使容認論議の中で「限定的」「必要最小限」などの言葉が飛び交う、《国の防衛、安全保障を論じるときに、後ろ向きの言葉がこれほど飛び交う国》はないというのですが、見て来たように嘘を付きとはこのことです。わたしも見て来たようなことを言いましょうか。米国議会では「予算の制約が」「他国のために我が国の若者の血を流すのか」「それにしても予算が」といった言葉が飛び交い、それが実際の政策にも反映されているように伝え聞くのですが、こういうのは「後ろ向きの言葉」「平和主義」と言わないのでしょうか。前向きの言葉だけでイケイケドンドンやってる国なんて軍事独裁国家ぐらいなものです。榊原記者はそれが理想なのかもしれませんが。《抑制の利きすぎた言葉遣いを「世界の民主主義国の標準」に近づける》とは、なにが「標準」なのでしょうか。
 《集団的自衛権の行使をめぐって、「勝利」するための議論はほとんど見られない》というのも、大間違いです。「勝利」とはなんでしょう。自国民の血をできるだけ流さないことが勝利、一滴も流さないことが、完全な勝利です。榊原記者の《中国の挑発に備えたり、中東からの海上交通路(シーレーン)の安全を確保するため、日本は、米国を「巻き込む」努力をしなければならなくなっている》という発言は、もはや勝敗を度外視して戦争遂行だけを最優先した旧軍のひそみに倣っているとしか思われません。