黙然日記(廃墟)

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産経「正論」のポイント。

 2/24分です。

【正論】選手に見た「日本の心」で再生を 立命館大学フェロー・加地伸行(1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140224/trd14022403310000-n1.htm

 ソチ冬季オリンピックが閉幕しました。観ていなかったのですが、テロもなく、良い大会であったようでなによりです。日本人選手の動向ばかり伝えられ、いちいちチェックはしていませんが、「みんなのおかげ」「周囲のサポートがあったから」という発言が多かったことは想像がつきます。どこの国でもそうだろうと思うのですが、ここで加地氏の出番です。加地氏によれば、欧米人は狩猟民族で個人主義者だから周囲に感謝しない、それに対して農耕民族の日本人は、というわけですが、カビが奥まで浸透してひからびきったような議論に絶句します。狩猟と農耕を対比させるのがそもそも人類史を無視した話で、狩猟には採集、農耕には牧畜というのが普通に考えられる対比でしょう。もちろん欧州でも米国近代でも、小麦農耕を基礎に文化を築いてきたことは言うまでもありません。この「狩猟民族と農耕民族」という概念遊びは大昔に日本で流行したものですが、いったい誰が言い出したのでしょうねえ。「日本語の特徴は主語を省略でき語順を入れ替えられること」と、英語フランス語ドイツ語などのゲルマン諸語とせいぜい中国語(漢文)との対比だけで論じる、朝鮮語もラテン諸語も無視した論説が大手を振ってまかり通っていた時代のことをふと思い出します。「欧米人の個人主義」という加地氏は、欧米選手のメダル後あるいは敗退後のコメントを確認したのでしょうか。「家族に感謝する」という言い方は、日本人にはあまり見られないものですが、欧米では普通に使われることはご承知の方も多いでしょう。
 そんなわけで、加地氏の脳内にだけ存在する“日本人”あるいはニッポソ人は、協力の精神を持っているのだそうです。で、ここからがわからないのですが、社会保障に無償のボランティア制度を取り入れよ、ただし日本人は無償では動かないからポイント制を導入せよ、と来るのです。前巻とのつながりがまったくわかりません。歩欄ティアでポイントを貯めて介護を受けるときはポイントを使うのだそうですが、ポイントを現金に置き換えれば介護保険制度となんら変わりません。思いつきの域を出ませんし、そんな制度がすぐに破綻することは目に見えています。これを加地氏は二十数年も提案し続けてきたそうですが、まったく相手にされなかったというのも当たり前です。とにかく、なにが言いたいのかわからないコラムでした。