黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の建国記念日観。

【主張】建国記念の日 悠久の歴史に思い馳せよ(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140211/trd14021103290000-n1.htm

 国家神道カルト炸裂です。昨日のエントリで、「産経史観では、日本史は明治から始まるが神武天皇即位は2700年近く前」といったことを書いたのですが、まさにこの史観に基づいた記述で貫かれています。神武紀元と紀元節が明治初年に捏造されたもの*1であることは広く知られていますが、それを21世紀の現代に当然のごとく所与のものとして扱い、明治政府の思惑と同じく国家統一愛国心の源として民衆をだまそうとしているのですから、呆れるばかりです。日本史が天皇家とともにあったことは否定できない事実ですが、それが1500年以上にわたることは、明治以後の科学的研究と科学的教育により、我々は誰でも知っています(「地球がまーるくって青いことを誰だって知っているけどずっと昔はわからなかった」ようなものです)。これは十二分に誇るべき歴史で、さらに1200年も加上して捏造する必要はどこにもありません。逆に、そんなものに頼らねばならないほど産経は日本に自信がないのか、日本の歴史を敬愛していないのか、日本をナメているのか、ということになります。
 自民党が先の総選挙で、建国記念日式典の政府主催を公約していたことを知りませんでした。したがってそんなことを信任したつもりもないのですが、これは有権者としてのわたしの責任です。議会制民主主義の欠点のひとつでもあるのですがそれはともかく、公約は公約ということでいいでしょう。しかし安倍晋三首相の靖国神社参拝は、選挙公約ではありません。支持者との約束ではあったかもしれませんが、国民との約束ではありません。それを同列にならべる産経「主張」の書き方は、あきらかにおかしなものであり、選挙公約というものを理解していないと言わざるを得ません。とにかく安倍政権が危険な方向にむかっていることは確実で、なんとかしたいのですがねえ。

*1:厳密には江戸時代の国学者たちが考案し、初期の明治政府に採用されたものですが。