黙然日記(廃墟)

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産経論説委員らしさ。

【日曜に書く】論説委員・清湖口敏 「らしさ」の相克はあったか - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140105/trd14010503090000-n1.htm

 あいかわらず自己陶酔型の抽象論で鳥肌が立つような文体の清湖口記者にツッコむのは嫌なのですが、他にネタもないのでしかたなく。「正月らしさ」とか「男らしさ」とか、「らしさ」を発揮するのが日本の伝統なのに、昨今は「自分らしさ」だけを重視する教育が行われている、これが諸悪の根源だ、という、内容的にもやっぱり相手にしたくないような文章です。あいかわらずさかんに古典を引用して、熊谷直実平敦盛を仕留める場面では「源氏らしさ」と「親らしさ」の相克があった、という例を挙げていますが、じゃあこちらは浪花節から引用すると、「♪義理と人情を秤に掛けりゃ、義理が重てえこの世の中よ〜」。別に琵琶法師まで遡らなくても、「らしさ」のない現代に通用する場面でも、相克の例は出せるわけですが、ここで「義理が重たい」と判断するのは自我であり、これを近代的自我として確立することが相克の克服に到ることを考えれば、「自分らしさ」重視の教育がいかに必要であるか、自ずと結論は出るでしょう。自己陶酔して産経らしい勝手な結論を導き出す清湖口記者の詐術には、もううんざりです。