黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経の年頭スクープ。他。

 今年もあいかわらずの予定ですが、よろしくお願いいたします。

【年のはじめに】国守り抜く決意と能力を 論説委員長・樫山幸夫 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010102200003-n1.htm

 年頭ということで、いつもの無署名「主張」ではなく、論説委員長による社説が掲げられています。昨年6月に就任した樫山委員長は今年が初めてですね。見出しからもわかるように、日本の軍備強化を訴える内容です。安倍晋三内閣による日本版NSC創設、特定秘密保護法制定から、防衛費増額、集団的自衛権容認、そして(9条)改憲までを一直線の道として、国防力強化を唱えています。絵に描いたような軍国主義者の言い分なので、さっそく初笑いさせていただきました。軍国主義という思想をもてあそび、「軍備強化すればなんでも解決できる」という発想は、どこから来るのでしょうか。産経新聞のこの1年の論調が、ここで示された樫山委員長の論に沿ったものになることを考えると、ますます目が離せなくなります。

河野談話 日韓で「合作」 要求受け入れ修正、関係者が証言+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010112380006-n1.htm

河野談話の欺瞞性さらに 事実上の日韓「合作」証言+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010116300010-n1.htm

 元日付1面トップのスクープといえば、各新聞社がいちばん力を入れるところです。たとえば「2009年に桂文枝襲名」とか。そこに今年の産経新聞は「河野談話は日韓合作」を持ってきました。河野談話発表前に韓国側とすりあわせを行っていた、というもので、産経的には大スクープなのでしょうが、どれほどのもんなのでしょうか。まず、匿名の関係者、おそらく単数の証言によるというところからして、いつもの産経の“スクープ”と同じです。そこはいちおう信用するとしても、「談話発表前に韓国側に見せていた」ことは、河野洋平氏も石原信雄氏も以前から証言しているところです。ただ見せるだけでなく、表現に問題がないかのチェックであることは、言外に含まれているでしょう。この「スクープ」に、新しい事実はほとんどない、少なくとも元日付1面トップを飾るようなものでないことは明らかです。そもそも河野談話の目的は、韓国を中心とした関係各国からこれ以上のクレームがつかないようにすることが目的だったわけですし、この目的は今でも果たされています。河野談話に文句を言っている海外関係者はほぼいません。文句を言っているのは世界的に見ても国内の右派だけで、その動きに対するクレームならあります。河野談話がなくなれば海外からのクレームがなくなるかのように右派は主張しますが、本末転倒もいいところです。
 記事本題の上の記事は無署名ですが、解説である下の記事が阿比留瑠比記者の単独署名になっているので、「スクープ」全体も阿比留氏の手によるものなのでしょう。社内的には大きな仕事を成し遂げたことになっているのでしょうが、ジャーナリストとしてはあいかわらず疑問が残ります。