黙然日記(廃墟)

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産経地方局の使命感。

「心通じあえた!」と教師自賛…台湾修学旅行のNHK番組事前学習のすごい中身とは?+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131231/stt13123107000000-n1.htm

 新年を迎えるに当たって、産経からモグラたたきのようにこんな記事ばかり出てくるのはもうたくさんなのですが……。それにしても、さいたま総局の安岡一成記者は大物だなあ、と思って当ブログの記事を検索してみたら、例の夢のエネルギー製造装置をスクープした記者でした*1。やはり非凡な人物のようです。
 埼玉県の高校の修学旅行というと、《なぜか》平和教育がセットになっているのだそうです。わたしも埼玉の高校で修学旅行は広島だったのですが(今は公立でも海外なんですね)、まあ広島に行って平和教育をやらない方がどうかしているし、そういうものだと思っていました*2。いずれにしろ、広島だろうと沖縄だろうと台湾だろうと、訪問先の歴史や風土を直視するのでなければ、「修学」旅行の意味がありません。大日本帝国の台湾支配に、インフラ整備などで感謝している人が多くいて親日的であることは事実だとしても、日本人と台湾人の間に差別があったことも事実です。「人権意識が希薄な時代だった」という安岡記者の言い訳は、言い訳になっていません。事実の指摘、あまり知られていない事実を紹介したNHK番組に、なんの問題があるのでしょうか。この番組を資料とした教諭は、台湾の親日ぶりに一言も触れていなかったのでしょうか。偏向している、バランスがとれていないといういつもながらの産経的言説は、この場合当てはまるのでしょうか。むしろ、「親日」ばかりを強調して歴史の負の側面に目を向けない産経や安岡記者の態度こそ、偏向しているのではないでしょうか。自分の思うとおりに偏向していなければ、他者を「偏向」呼ばわりするのは、産経周辺のいつもの手口ですが。
 産経新聞さいたま総局が、このネタで県議会の一部をプッシュしているのが、そしてまたそれに県教育委員会が押されているのが*3、不安でなりません。産経新聞の地方総局・支局には教育問題にやたら熱心なところとそうでもないところがあって、さいたま総局は悪い意味で代表的な存在になりつつあるようです。安岡記者のプッシュによるものなのでしょうが、彼はその前にまともな中等教育を受け直すべきでしょうね。永久機関は存在し得ません。
 そんなこんなで最後まで疲れさせてくれる産経新聞ですが、当ブログは来年もこんな調子でやっていこうかと思います。それでは皆様よいお年を。

*1: d:id:pr3:20110626:1309096958 参照。

*2:感想文に「牡蠣が旨かった」と書いたら怒られましたが、これはなぜ怒られたかいまだにわかりません。

*3:といっても埼玉県教委は、高橋史朗氏を教育長に戴いていたこともあるのですが。あの県知事をなんとかしないと……。