黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経オピニオンのNHK観。

産経抄】「大東亜戦争」を認めないNHKの歴史観 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131222/ent13122203220000-n1.htm

 いきなり《最新の雑誌『別冊正論』はNHK批判を特集している》ですから、笑わせてくれます。どんだけ内輪の論理で凝り固まっているんだと。「大東亜戦争」という呼称をNHKが使わせなかったと言って偏向呼ばわりしているのですが、どっちが偏向なのか、判断する能力もなくなってしまったのでしょうか。最初からないか。そもそも1943年時点での主敵は米国ですから「東アジア戦争」という概念は当てはまらず、「太平洋戦争」または「アジア太平洋戦争」とすべきことは、常識で考えてわかります。この「産経抄」は、「大東亜戦争」という呼称がいかに正当であるかを力説しているのですが、当時の閣議で決定したことがすべて正しいのなら、対米開戦だって正しかったことになります。《戦争の大義が込められていた》というなら、なおさら、あの泥沼の戦争に大義などなかったということを指摘せねばなりません。反原発特定秘密保護法案反対の声が高いことを報道するな、自民党政府と産経の見解だけ報じていればよい、と言わんばかりの態度については、もうなにも言う気になれません。
 産経周辺で「大東亜戦争」が流通している、あるいは原発賛成等が多数派だからといって、NHKがそれを採用しないのは偏向だ、という決めつけは、自分たちがどれだけ内輪の論理にとらわれているか、それに気づかずにいるか、要するにいかに愚かであるかを満天下に公言しているようなものです。

【主張】NHK新会長 改革加速し公正な放送を+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131222/biz13122203260001-n1.htm

 こちらの「主張」は少しおとなしいのですが、基本のところでは「産経抄」と同じ観点に立っていることが明らかです。NHKスペシャル「アジアの“一等国”」に関し、原告42人中41人が敗訴した例の訴訟を笠に着てNHKに“公正・公平”を求めているのですが、こんなもん上と同じく「産経の価値観に沿った報道をしろ、それ以外は認めん」と言っているのと変わりません。
 この「産経抄」および「主張」後半部を要約すると、「自分の価値観に沿わないから公正公平ではない」ということになります。いったい、公正とか公平という言葉の意味がわかっているのでしょうか。