産経「主張」の共謀罪観。

【主張】共謀罪　テロ未然防止へ創設急げ＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130927/plc13092703090003-n1.htm

　先日のエントリでも触れましたが、産経新聞は共謀罪創設に全面賛成の意向です。他紙の社説をすべてチェックしているわけではないのですが、ここまで前のめりの姿勢を示している新聞は他にないのではないでしょうか。一般の人権を侵害しかねないという懸念に対しては、組織犯罪集団だけが対象だから関係ない、むしろ組織犯罪こそ人権侵害だと言い張るだけで、懸念を現実のものとして真摯に受け止めようとする気配もありません。「組織」の定義がどんどん拡大解釈されることが問題なのですが。一般市民の権利より警察・国家の支配を尊重する産経の体質が、ここにも現れています。
　共謀罪創設の口実としているテロに対する考え方もおかしくて、たとえば《北朝鮮による日本人拉致事件もテロそのもの》とか言っちゃってるのが、おかしいと自分で思わないのでしょうか。「テロリズム」とは恐怖主義で、あからさまな暴力行為により人々の心に恐怖を植え付け、思うがままに操ることを言います。この定義が現代では変わってきているとしても、秘密裡に行われた拉致事件はテロ「そのもの」ではありません。テロ「に含まれる」ぐらいのところです。自らの論拠を強調しようとしたのでしょうが、論拠の弱さを自覚しながら持論を押し通そうとするとき、人はこういう過ちを犯します。