黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経阿比留記者のマンガ観。

【阿比留瑠比の極言御免】「はだしのゲン」はどんな本か+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130821/lcl13082121040002-n1.htm

 『はだしのゲン』はどんな作品か。日教組好みの表現があふれているから学校現場に導入されたのだ、と阿比留記者は断じます。そして、日教組好みの作品だから図書館で公開する必要はない、と続きます。わたしが読んだのも40年近く前の話で今手元にないので、記憶は断片的なのですが、主人公が自己中心的という評価は当たらないと思います。少年の自我と周囲の不条理、それは原爆だったり大人たちのエゴイズムだったりしますが、両者が衝突したとき、少年の正義感をあくまで優先させる視点は一貫していました。マンガ作品としていちばん大切な部分で、それだけでも傑作として評価する理由になります。残虐表現にしたって、少なくとも当時の週刊少年ジャンプの出版コードに適合した範囲にすぎません。「日教組好みだから」というイデオロギッシュな理由で閲覧規制を正当化するような大人の理不尽にこそ、現代の少年少女たちには『はだしのゲン』を読んで立ち向かってほしいと思います。