黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の歴史歪曲観。他。

【主張】朝鮮戦争休戦60年 「戦勝」とは歴史の歪曲だ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130727/kor13072703130002-n1.htm

 北朝鮮の「戦勝」連呼が歴史歪曲であることは確かですが(そもそも休戦中なんだから勝ち負けは未確定でしょうに)、産経「主張」がそれを指摘するのは、お前が言うな、の一言に尽きます。産経と北朝鮮の共通点が、またひとつ明らかになりました。
 この文章でも、細かく歴史を歪曲しています。朝鮮戦争当時、日本は後方補給基地となりましたが(そして結果論にせよ、特需で繁栄し戦後成長の基礎を築きました)、軍事力を提供してはいません。完全に武装解除されていたのですからあたりまえですが、産経「主張」に言わせると、現在の朝鮮半島有事には当時にならって、集団的自衛権で米国に軍事協力しなければならないのだそうです。当時を引き合いに出すなら日本は後方支援だけでよいはずで、つじつまがまったく合いません。

【主張】防衛大綱改定 敵基地攻撃能力の明記を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130727/plc13072703140005-n1.htm

 つじつまの合わない妄想的主張は、もう一本の産経「主張」にも登場します。何度も繰り返し主張し、そのたびごとに指摘していますが、北朝鮮のミサイル基地をピンポイントで叩けるなどというのは妄想以外の何物でもありません。先制攻撃された場合の報復力すなわち抑止力がないというのも逆方向の妄想でしょう。離島防衛のための水陸両用兵力拡充を賛美するのはいいのですが、冷戦終結後20年にわたり北方に戦車部隊を蓄積するだけでのほほんとしていた自衛隊の時代錯誤ぶりを批判しなければならないところで、なぜ産経は自衛隊の批判というものを一切しないのでしょうか。