黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の日韓歴史問題観。他。

「『捏造』発言で名誉毀損」 中大教授が維新議員を提訴 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130726/trl13072613090004-n1.htm

 よくわからない見出しです。配信時点では《「従軍慰安婦の著書は捏造」発言で提訴 中大教授が維新議員を》だったのですが、後から見出しを替えてしまったようです。最初の見出しなら問題の所存も明確で、記事の注目度も上がったはずなのに、なぜ差し替えてしまったのでしょうか。注目されたくなかったのでしょうか。なお、中大教授とは吉見義明氏、維新議員とは桜内文城氏です。裁判は水物とはいえ、桜内氏に勝ち目はあるのでしょうか。こういう訴訟はがんがんやってほしいものです。

【正論】ジェームス・E・アワー 日韓の間の「真実の話」をしよう+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130726/kor13072603210001-n1.htm

 産経「正論」ではいつものとおり、歴史の事実をゆがめて戦前日本を正当化しようとする試みなのですが、いつもと違って米国人の視点からの切り込みなので、角度が違い反論もしづらくなっています。まあ祖もでも、間違いは間違いなので片づけておきましょう。「慰安婦は韓国人(朝鮮人)だけではなかった」。これはそのとおりです。しかし、人口比に対して朝鮮人慰安婦の数が多すぎるのは、あきらかに植民地からの収奪を意味しており、そここそがまさに問題である点をアワー氏は無視しています。また「当時、売春は合法であった」というおなじみの言い分には、「騙して閉じこめて売春を強制するのは当時でも違法だった」というおなじみの反論で十分でしょう。「日清・日露戦争は朝鮮を両国の植民地化から守るためだった」、これはあまり指摘されない、とか得意げになっていますが、根本的に間違っているから誰も言わないだけです。清やロシアの植民地化から免れたとして、そのまま日本の植民地になったのでは、朝鮮(韓国)は救われません。日清・日露が植民地争奪戦だったことは日本で(普通の教科書で)中学あたりの歴史を学べば誰でも知っていることなのですが、海外から日本史を学ぶとそんなこともわからないのでしょうか。「靖国神社はアーリントン墓地と同じ」というにいたってはアワー氏の正気を疑うほどで、アーリントンは無宗教ですし戦死者を強制的に祀る場所でもありません。奴隷制度を守るために戦った南軍の死者も埋葬されているといいますが、戦争指導者は埋葬されているのでしょうか。靖国神社に祀られている(と称する)一人一人の戦死者への畏敬の念を持たない者は誰もいません。それを宗教形式で、戦争賛美のために祭り上げていることへが批判されているのです。
 概してアワー氏の論説は、切り口が違うとは言えそれが客観性をもたらしているわけではなく、日本の反動右翼の主張を形を変えて提示しているに過ぎません。ふつうの新聞だったら、こんな論説は相手にもされないでしょう。産経新聞恐るべしです。