黙然日記(廃墟)

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産経の英雄史観。

産経抄】7月11日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130711/dst13071103290000-n1.htm

【主張】吉田元所長死去 「英雄的献身」を忘れまい - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130711/dst13071103340001-n1.htm

官邸介入にも注水続行 貫き通した「現場の判断」 福島第1原発の吉田元所長死去+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130710/dst13071000250001-n1.htm

 吉田昌郎福島第一原子力発電所長のご冥福をお祈りします。合掌
 さて産経は、一般記事はもちろん「産経抄」「主張」を使って吉田氏を追悼しています。それも、まるで英雄として讃えるような論調で、なにをたくらんでいるのだろうと疑問に思えてきます。見出しなどからわかるように、どうやら吉田氏を「官邸(当時の菅直人首相)と戦った英雄」と扱いたいようです。さすがに、細かく読めば「菅首相が海水注入を中止させた」というデマは書いていませんが、そうした印象を与える記事や見出しを並べ、わずか2年前の歴史を捏造しようとやる気満々です。
 産経お得意の自慢史観は、英雄史観でもあり、英雄待望史観ととらえることができるでしょう。一個人の英雄的行為が歴史を動かしてきた、という流れで歴史観を統一しようとしたがります。唯物史観の発展段階論へのカウンターのつもりなのかもしれませんが、個人の力だけで時代の流れを変えられるものではありません。個人の力をそこまで重視するのはマッチョイズムでもあり、押しつけられた個人としては迷惑なものでしょう。吉田氏が産経の評価を喜んでいるかどうか、疑問符を付ける視点が必要です。