黙然日記(廃墟)

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産経新聞の80年。

 創刊80周年おめでとうございます。とりあえず。今のような形(一般紙、全国紙)になったのは1950年のことで、それまでは西日本ローカルの産業専門紙だったのですがね。

産経抄】6月20日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130620/art13062003390001-n1.htm

 創刊80年を振り返る「産経抄」は、1982年の「教科書誤報事件」を取り上げています。1950年の一般紙化から25年ほどはまともな保守系紙だったサンケイ新聞(当時)が、「正論」路線を名乗っておかしな方向へ向かい始めた時期の、決定打となったのがこの「教科書誤報事件」でしたから、取り上げること自体に異論はありません。もちろんだからといって、この40年間の路線の過ちを認め、そのターニングポイントとなった事件を振り返るというわけではありません。あのとき我々は正しかったのだ、この路線で間違いないのだ、ということを強調するためのものです。
 誤報を出したらきちんと謝る、というのは正しい態度ですが、この教科書誤報事件に関しては、産経の誤る方向が違っていました。それが現在にまで尾を引いている、といっても過言ではありません。「『華北への侵略』が『進出』に書き換えられた」というのが誤報の内容で、産経新聞はそれを取り消し謝罪したのですが、実際は「『東南アジアへの侵略』が『進出』に書き換えられた」という事件であることには口をつぐんだままでした。「侵略」→「進出」の書き換えをすべてなかったことにしてしまったわけで、これではとても、「名誉ある謝罪」とは言えません。自らの路線を肯定するためだけの「謝罪」です。本当の名誉とは、イラク人質事件の「イッテ、イッテ」誤報や甲子園学ラン応援誤報自衛隊迷彩服迷惑だ誤報など、産経自身の路線に都合のいい誤報がなぜ生じたのかをきちんと検証し、四段見出しで謝罪することです。一度でも産経がそれをやりましたか。産経新聞80年の歴史のうち、前半に築かれた名誉を穢し続けている現在の幹部・スタッフが、80周年を祝う資格などありません。