黙然日記(廃墟)

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産経「主張」のフランス観。

【主張】日仏首脳会談 対中「脅威」認識の共有を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130608/plc13060803030004-n1.htm

 日仏の軍事・原子力協力が進められようとしています。産経が大喜びなのはわかりますが、喜び方のピントがどうもずれています。日仏軍事協力を対中包囲網だと思いこもうとしているのですが、無理があるでしょう。たとえば海洋法遵守や航行の自由をうたった共同宣言について、尖閣問題に焦点を絞ったものかのように述べていますが、フランスとの利害が共通するのはなによりも、アラビア海などの海賊問題でしょう。海賊問題も、自衛艦を派遣するしないという話をしていたころは産経も盛んに言及していましたが、いまはすっかり忘れてしまったかのようです。ていうか忘れてるだろ。
 フランスは尊敬すべき文化大国ですが、同時に、隙あらばどこにでも武器や原子力関連事業を売りつけようとする商売人でもあります。ほんとに隙があれば、中国に原子炉を売り込むことだって厭わないでしょう。現に、ヘリコプターの着艦装置を中国へ売りつけたわけです。そのフランスの一面を見ずに、価値観外交対中包囲網だと産経や安倍晋三政権*1は、ほんとにおめでたいとしか言いようがありません。外交術の母国であり、タフな交渉相手であることを認識した上で、仲良くやっていくしかない相手なのです。外交といえばもはや中国のことしか頭にない産経ごときに論評できる相手ではありません。

*1:外務省レベルではわかっているでしょうが、トップがねえ……。