黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

櫻井よしこ氏の改憲観。

櫻井よしこ 美しき勁き国へ】奇妙な96条改正反対論+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130603/plc13060303050003-n1.htm

 「奇妙」だと思っているのは櫻井氏だけで、まっとうな議論がされているのですが。何度も、何度でも書きますが、法律の改正に必要なのが「代表議会の過半数の同意」だとしたら、憲法改正に必要なのは「国民の大多数の同意」であって、それはどこの国でも変わりません。それが「衆参両院の2/3と国民投票過半数」だろうと「上下両院の2/3と各州議会の3/4」だろうと、考え方としては変わりません。櫻井費は百地章日大教授の珍説を持ち出して、米国憲法改正(修正)には上下院出席議員の2/3で足りる、全議員の1/3で発議できてしまうではないか、日本は全議員の2/3だからそれより厳しい、世界一厳しい規定だ、というのですが、これこそ詭弁もいいところです。上下両院で発議したあと、各州議会の3/4の賛成という高いハードルがあることを無視しています。これに比べたら「国民投票過半数」(まだ最低投票率さえ決まっていません)という規定は十分に緩いものです。いや、厳しいの緩いのの競争をしていても始まりません。基本的な考え方としては「国民の大多数」であり、それをどう数字に表すかという違いでしかないのですが、「衆参両院の過半数」というハードルはあきらかに低すぎるということです。
 安倍晋三政権のこの改憲論に対する細野豪志民主党幹事長の批判に対して、同じ民主党長島昭久憲法調査会副会長の再批判を援用してdisっていますが、長島氏といえば昔から、「なんで民主党にいるの、さっさと自民党でも維新政党・新風でも移れば」と言われているような人です。櫻井氏にとってはたいへんお気に召す人物かと思いますが、相手にする方が間違っています。少なくとも自民党古賀誠元幹事長をdisるなら、長島氏も民主党の一員として認めるべきではないでしょう。
 そもそも櫻井氏はのっけから、《安倍晋三首相への支持率の高さは、首相こそこの重大な分岐点に立って、正しい選択をしてくれると多くの国民が期待しているからである》などといった歯の浮くような賛辞を並べている時点で、まともにものごとを論じる気がないのは明確です。4月からコラムのタイトルが「安倍首相に物申す」から「美しき勁き国へ」に変わりましたが、「安倍首相におべんちゃら申す」に変えた方がよかったのではないですか。