黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の公約案観。

【主張】自民参院選公約 96条の先行改正を掲げよ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130525/stt13052503270000-n1.htm

 そもそも最近の自民党は、きちんとした公約(マニフェスト)を掲げていません。発表しているのは「Jファイル」(自民党政策集)で、約束ではないから守らなくてもかまわない、という位置づけのものです。それでもおおざっぱな、昔ながらの「公約」(「このぐらいの公約は破ってもたいしたことはない」)は掲げるようなので、その話です。
 96条先行改憲を引っ込めたということで、産経はたいへんにお怒りです。自民党がこうした公約にするのはなぜなのかといえば、いつものように不利な争点は引っ込めて後でこっそりやってしまおう、という戦略なのだと思われます。こうした姑息な自民党の基本戦略を産経が理解しないのはたいへんに不可解で、広報紙の言説とも思えません。だいたい産経よりは自民党の方がアタマがいいので、産経が「96条改憲を争点化せよ」と求めているときは争点化しない方が(自民党にとって)賢いという場合が多いわけですが。黙って甘い公約で有権者を釣ったあと、多数を占めればなんでもできるというのが、昔からの基本的な自民党の戦略です。今回の選挙は制度的に雪崩式の多数確保が難しい参院選で、落ち目の日本維新の会などとともに三分の二を目指すという非常に高いハードルがあるので、国論を二分する改憲問題は正面から引っ込めたのでしょう。そして、国論が二分されているときは改憲しないというのが、(言葉本来の意味で)保守的な日本国が戦後選択してきた道でした。国論が本当に一致しているなら、三分の二条項があっても問題なく改憲できたはずなのです。安倍晋三政権の施政が国民の代表ではなく、せいぜい二大勢力の一方でしかないことが、ここで明らかになっていると言えるのではないでしょうか。