産経「主張」のドミノ理論。他。
【阿比留瑠比の極言御免】「慰安婦謝罪」の意外な真相+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/plc13052313320011-n1.htm
第一次内閣当時の安倍晋三首相は、ジョージ・ブッシュ米大統領(当時)に慰安婦問題で謝罪などしていない、ボク安倍ちゃん本人から聞いたもん、という主張です。この件についてはさまざまに検証されているので、耳新しいことはありません。安倍氏本人の発言自体が状況によって変化することも検証済みなので、阿比留記者の証言も意味がありません。複雑なテーマを首脳会談で扱いたがらないブッシュ氏にも困ったものですが、「対外的に話し合ったことにする」という決定は、当然ながら結論が定まっている場合にしか通用しません。ブッシュ氏にとってそれは「安倍氏は慰安婦問題で謝罪するのが当然」ということだったのでしょう。安倍氏がその場で異見を差し挟まなかったのなら、ブッシュ氏の見解を認めた、すなわち実質的に謝罪したと言われてもしかたありません。そこまで理解する知能が(二人ともに)亡かったのかもしれませんが。
たとえば法華狼氏が指摘しているように*1、安倍氏は一人になると「謝ってない」と言い始めるおかしな心理状態にあると考えれば、彼の言動の支離滅裂さに説明がつきます。そうした心理状態を客観的に指摘することができないのならば、阿比留記者がジャーナリストとして安倍氏に密着している意味がなく、単なる腰巾着といわれてもやむを得ないところでしょう。
【主張】敦賀原発報告書 規制委の「暴走」許すな 廃炉ドミノで日本が衰える - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/plc13052303240001-n1.htm
敦賀原発2号機の廃炉が確定的になって、産経はもう半狂乱です。一つ廃炉を認めれば次も次もと拡大していき、ついにはすべての原発が廃炉にされてしまう、と恐怖を抱いているようです。いいことだとしか思えないのですが、現実的にはその道のりは険しいものでしょう。それにしても、この産経の理論は、かつての第三世界の共産化をおそれるヘンリー・キッシンジャー氏*2のドミノ理論にそっくりですが、「原子力規制委=反原発=サヨクの陰謀」という被害妄想が産経の論説を左右していることがあからさまになったような理論です。ドミノ理論はベトナム戦争の泥沼化をもたらしたわけですが、産経ドミノ理論は自分自身の泥沼化というていどで、あまり実害はなさそうですすね。歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。
【正論】現代史家・秦郁彦 橋下発言の核心は誤っていない+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/stt13052303220000-n1.htm
すみません、表題だけで呆れ果てて内容を読んでいません。とにかく産経新聞はこんな寄稿が載る新聞なのだ、ということです。
*1: http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20130522/1369235155
*2:調べてみて、まだご存命なことに驚きました。