黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、反論できず。

【主張】中国の沖縄論文 筋違いの妄言看過できぬ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130510/chn13051003140001-n1.htm

 中国も無茶なことを言い出すものだと思っていたのですが、「ポツダム宣言に沖縄が含まれていない」という指摘を見て、ああそうかと思いました。もっともご承知のように、沖縄はその後米国の施政下に入り、サンフランシスコ講和条約で主権回復を無視され、1972年にようやく返還されたという経緯を経るわけです。ここで仮に、沖縄(琉球)が本来独立国であるという視点を持ち込んでも、琉球政府が米国施政を離れた時点で日本国への編入を求めていたのは事実であり、ドイツ民主共和国ドイツ連邦共和国編入されたのと同じことで、なんの疑問もありません。さかのぼって近世、中国(明・清)と日本(薩摩)の両属国であった琉球を、明治日本が領土と定めた琉球処分は、強引ではありますが、当時としては違法なやり方ではなかったでしょう。王朝の藩属国であったから(チベットと同じように)中国の一部だ、という論には、もちろん同意できません。それならローマ帝国の領土もすべて中国の一部になってしまいます。沖縄には独立論がすくぶっていて、私見としては、いったん独立した上で日本国と連邦を組み、日本沖縄連邦内の対等な存在になるのがよいのではないかと思いますし、少なくとも道州制の下で独立した沖縄州になるべきだと思いますが、仮に完全に独立しても、(チベットと同じように)中国の一部であるという論は成り立ちません。
 このように、中国の沖縄領有論にはいくらでも反論できるのですが、産経「主張」は頭に血を上らせて「だめだだめだ、そんなの認めない」とわめくだけの代物になってしまっています。米国の施政下にあったことや、本来は独立国であったことや、国家と自治体の関係が対等とは言わぬまでも同じステージに立っているという考え方を、産経としてはどうしても認めたくないのでしょう。中央集権型国家主義を前提にする産経の思想からは、同じ国家主義による中国の主張に論理的な反論ができないのです。それで、反論の糸口がつかめないのでしょう。