黙然日記(廃墟)

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産経阿比留記者の対米観。

【阿比留瑠比の極言御免】護憲派の親米ぶりに感心する+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130502/stt13050211350000-n1.htm

 親米保守を社是とする産経新聞社の中にあって、反米で突っ張る阿比留瑠比記者です。といっても、こういうときに八つ当たりのように真情を吐露するだけで、会社の方針に正面から逆らったりはしません。このへんが、裁判に負けてもきっちり出世していく秘訣なんでしょうね。先日結成された議員連盟・立憲フォーラムに関して、辻元清美幹事長の名前を挙げていますが、今回は大丈夫でしょうか。名誉毀損な記述はないでしょうか。見ている方がどきどきします。
 いいものであれば外国製だろうと積極的に受け入れるのが、長きにわたる日本の伝統です。自称愛国者に限って底の浅い国粋主義にかぶれ、この単純な事実から目を背けます。随唐の興隆期には積極的に遣隋使・遣唐使を派遣して文化を吸収し、中華王朝が衰退期に入ればあっさりと遣唐使を廃止し、漢詩を基礎教養にした国風文化を確立するのが日本のやり方でした。よいものを取り入れて自家薬籠中のものとする能力こそ、日本が世界に誇る文化です。憲法が基本として米国によってもたらされたものだとしても、それを自らの基礎として日本社会に当てはめてきた戦後の歴史は、けっして恥じるべきものではありません。
 阿比留記者はまた、戦後GHQの検閲により「憲法の押しつけ」が国民に知らされてこなかった、とも指摘していますが、また本人が言っているように、現在はすでに、その経緯は広く知られています。その上で、現憲法を是とする人が多いことを、彼はどう説明するのでしょうか。戦後GHQの政策を阿比留記者らはあたかも「洗脳」であるかのように言いますが、それを聞くたびにわたしは、統一協会などのカルト宗教を思い出します。カルトに陥った被害者を救出するためには、ときに過酷と思える手段で一般常識を叩き込み直す必要があります。その行為を、カルト側は家族側による「洗脳」と呼ぶのですが、はたして正しいのはどちらでしょうか。愛国保守カルトに陥っている阿比留記者を救出できる人が果たしているのか、彼のために心配しているのですが、洗脳が解けてしまったらもうあびるんではないですね。よけいなお世話なのかもしれません、本人の主観的には幸福なのでしょうし。