産経「主張」はなにをしているのか。

【主張】鳩山氏訪中　あなたは何をしてるのか＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130118/plc13011803220005-n1.htm

　「しているのか」ではなく《してるのか》という見出しに違和感があります。それはともかく、鳩山由紀夫元首相の言動について。「尖閣諸島に領土問題は存在しない」というのが日本政府の公式な立場ですが、係争が発生しているのは確かです。いくら《日本の「顔」であった元首相》とはいえ、政治家の立場を離れた自由な個人が発言するのは止められないでしょう。それよりも、この文中で軽く触れられていますが、森喜朗元首相が北方領土三島返還論に言及したことの方が、よほど問題だろうと思います。森氏も議員を引退した身ですが、2月に首相特使として訪露する予定があります。特使としての発言は、政府の立場を拘束します。産経はなぜこの発言を、記事の見出しとするなどもっと重視しないのか、強い疑問を抱きます。まさか森氏が産経新聞OBだからというわけではありますまい。
　鳩山氏の話に戻りますが、彼の放言癖はたしかに現役時代からです。その後の状況を考えない軽い発言は、特に首相時代には非難されてしかるべきものでした。ただ擁護するなら、列挙されている過去の発言はいずれも、鳩山氏なりの国際感覚に基づいた発言であるでしょう。「日本列島は日本人だけのものではない」という発言が繰り返し非難されますが、まず大和民族だけのものではないことはあきらかです。「日本人」を日本国籍所有者と考えたとしても、特殊な状況に置かれている在日コリアンの存在、あるいは広く永住権を持つ外国籍者にとっても、日本列島は重要な存在です。また（この発言だけ切り出されて喧伝されるので背景がわかりづらいのですが）ビジターの存在もまた、日本列島にとっては重要です。そうした状況を考えずに言葉面だけで非難を繰り返すのは、新聞としてどうなのでしょうか。