黙然日記(廃墟)

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産経佐々木記者がひどい。

【外信コラム】ポトマック通信 「談話」のツケ重く - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130111/amr13011103140000-n1.htm

 いきなり《米紙ニューヨーク・タイムズがひどい》と始まります。産経新聞はもっとひどいと続けたいところですが、佐々木類ワシントン支局長はこう続けます。《一党独裁言論の自由がない中国や北朝鮮ではあるまいし、民主国家日本の首相を「右翼の民族主義者」呼ばわりし恬(てん)として恥じないのだ》。前半と後半のつながりがよくわかりません。「言論の自由がない国のメディアが対外攻撃しているのではではあるまいし」なのか、「一党独裁国家の指導者に対してではあるまいし」なのか。どちらにしても、安倍晋三氏が右翼で民族主義者である(いまのところ排外主義ではありませんが国粋主義歴史修正主義ではあります)ことは間違いないし、民主国家に右翼や民族主義の政治家がいることは不思議ではありません。なぜ佐々木記者がここまで怒っているのか、理解できません。産経の記者は、自分やお仲間が右翼呼ばわりされると逆上する傾向にありますが、これは本当に謎です。自分では中道と信じているにせよ、客観的にみて周囲から右翼と思われていることは承知しているはずです。そこで理性的に反論して自らを中道と証明するのではなく、感情的になって逆上するから不思議なのです。
 安倍首相の河野談話否定発言に関してNYT紙が批判することも、歴史的に観てなんの不思議もありません。日本の歴史修正主義、すなわち軍国日本を肯定する行為が、米国からどう見えるか、考える能力が佐々木記者にはないのでしょうか。これはあくまで比喩として、北朝鮮金正恩政権が日本人拉致を認めた金正日談話を否定するのと同じように見えるのではないでしょうか。広義の慰安婦強制連行があったことは事実なのに、「狭義の連行はなかったのだから事実とは違う」「談話発表は政治的判断だった」と言い張っても、言う方の立場が悪くなるだけです。そもそも、彼らは国益と盛んに口にしますが、慰安婦問題の否定にどんな利益があるのかさえわかりません。
 うまくいっていることをそのまま続けるのが政治学的な「保守」の定義であり、それを改めようとするのは右にしろ左にしろ「革新」です。右側に革新しようとするなら、それはやはり「右翼」とされるのが当然でしょう。そうした自覚があるのかないのかわかりませんが、いちいち逆上する佐々木記者の態度は、やはり「ひどい」の一言に尽きます。