黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の出生数観。他。

【主張】出生数最少 結婚しやすい環境作りを+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130106/plc13010603170002-n1.htm

 子育て支援を否定はしていませんが、それ以上に結婚対策を言っているのが特徴です。出生=結婚というコンサバティブさが、さすが産経ですね。これたぶん本気で言っているので、困ります。シングルマザーが子育てしやすい環境を作らなくては、少子化は本質的に解決しません。シングルマザーが子育てしやすい環境は、共働き世帯にも、専業主婦世帯にも、子育てしやすい環境であるはずです。逆は真ではないのですが。
 若者の就職が不安定なことが結婚や出産の妨げになっているという正しい指摘もしているのですが、そこに手を打つという提案は、普段の産経の主張と大きく違うのではないでしょうか。ていうか、最終消費者の所得向上を無視した普段の産経があきらかに間違っているということなんですがね。

安藤慶太が斬る】(上)平和を守るためにこそ新憲法が不可欠だ+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130105/plc13010512010010-n1.htm
安藤慶太が斬る】(中)“冷温停止”した民主党に+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130106/stt13010607000000-n1.htm
安藤慶太が斬る】(下)政党は果たして公的な機関といえるのか+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130106/stt13010618010004-n1.htm

 安藤慶太記者が、また新年からいきなり飛ばしています。ていうか産経の編集方針がそうなのでしょうが、呆れるばかりです。
 まず(上)ですが、いきなりツッコミどころだらけで、たとえば石原慎太郎氏への「尖閣問題は野田佳彦政権に責任があるのか中国に全責任があるのか、あるいは多少はあなたも責任を感じているのか」という質問に、中国に全責任があるのだから質問自体がナンセンスだ、と却下していたり。安藤記者の主観ではそうでも、石原氏がどう考えているかはわからないし(推測はできますが)、質問すること自体には価値があります。これがわからないで、よく何年も記者を続けてこられたものだと驚いてしまいます。尖閣問題については中国を刺激しないで実効支配を現状維持する、つまり「なにもしない」のが正解なのですが、それも理解できていないようです。
 戦争には巻き込まれることもあるのだから防衛力つまり新憲法が必要だ、という論理が(上)の結論ですが、戦争を放棄した国に一方的に攻め込んでくる国があれば、国際社会の懲罰を確実に招きます。《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して》とはそういう意味です(安藤記者はこれを《平和を愛する周辺国》と勝手に書き換えていますが、まるで意味が違います)。「戦争ができる国」になったら、この特権は享受できません。そして、産経新聞が勧めている(そしておそらく安藤編集委員が担当している)新憲法草案についてはまったく触れられていませんね。
 (中)では民主党の敗因を分析しています。まあまあと思うところもありますが、たとえば民主党が唱えた「地域主権」という言葉に対して、「地域に主権などあり得低」と批判しているあたりには、首をかしげざるを得ません。明治以来わずか百数十年の中央集権国家しか知らず、連邦制の国、たとえば米国や江戸時代の日本のことも知識がないのでしょう。
 (下)では日本未来の党の顛末をあげつらっています。それはいいのですが、政党政治という仕組み自体を否定しているあたりで、また首をかしげてしまいます。どうも安藤記者は、あるいは産経の記者全般は、民主政治が嫌いなのではないか、と思える節が多すぎます。