産経「主張」の情報共有観。

【主張】北ミサイル発射　暴挙に厳しい制裁加えよ　集団的自衛権を認める時だ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121213/kor12121303220003-n1.htm

　人工衛星も無事に打ち上がったようですが（電波ひとつ出さないのはどうかと思いますが）、産経新聞はお怒りです。どさくさまぎれに集団的自衛権の行使を求めているのも、いつものとおりです。米国本土を狙うミサイルを日本のイージス艦で撃ち落とすとか、どんだけ夢想家なんでしょうか。またそれが可能だとしたら、米軍のイージス艦にも可能なはずで、なにも日本軍がその責を担う必要はありません。またそもそも、日米安保条約は日本警護と基地提供をバーターにした双務的条約で、日本が米国を護る義務はなく、安保条約の概念を踏み出すものであるこは、何度も指摘してきました。
　北朝鮮にも平和目的の宇宙開発を行う権利はあるだろうと思いますが*1、安保理決議違反は違反ですから、その点でペナルティを課す必要はあります。しかし日本が独自に、あるいは日米韓で国連と別に制裁を行う意味はあるのか、という視点もあります。今後、なんらかの（たとえば日本人拉致事件関連で）交渉をする際に、カードとして保持しておく必要があるからです。特に、産経「主張」が提案する金融面での締め付けを、北朝鮮が嫌がることはわかっているだけに、カードは有効に使わねばなりません。
　日韓の情報共有体制が4月以後強化されるはずだったのが、日韓間の軋轢により立ち消えになってしまったことを残念がっていますが、誰が悪いのか、胸に手を当てて考えてほしいものです。産経の歴史修正主義が国益を損ねることは、やはり何度も指摘してきましたが、具体的にこういう問題が生じているわけです。

*1:ただその衛星がいきなり南北軌道というのは、はたして本当の意味で「平和目的」かどうか疑問ではあります。