黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経記者の文章の巧拙。

【軍事情勢】「井戸掘った人を忘れぬ」ではない 中国は「2人で井戸をのぞけぬ」怖い国+(1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121104/chn12110411260001-n1.htm

 はい、のぐっちです。まず見出しですが、ことわざというのは極端な表現をするもので、日本で犬が歩けば必ず棒に当たるというようなことはありません。当たり前です。先の中国における暴動騒ぎを官製暴動と決めつけていますが、どこに根拠があるのか不思議です。日中経済交流に井戸を掘ったパナソニックが襲撃されたのは、意図的なものだったのでしょうか。まずそこから疑問が沸くのですが、野口記者はいつもの調子で押し切ってしまいます。国連事務次長を務めた新渡戸稲造の言葉を引用してもっともらしく見せていますが、同じく国連事務次長を経験した明石康氏が現代の中国についてどう発言しているかは紹介してくれないのでしょうか。
 中国のあれが悪い、これが悪いと並べ立てたあと、いきなり日本の民主党批判に飛ぶのも、産経ではおなじみのパターンです。中国共産党民主党が友好関係にあるから、というのですが、自民党だって中国との関係は深いし、民主党で中国にいちばん太いパイプを持っていた小沢一郎氏は離党してしまいました。中国共産党と現在の民主党の関係をあげつらう意味もわかりません。単に「サヨク」で同じに見えるというのなら記者として言語道断で、わたしだって野口記者と在特会は区別して考えています。いっしょにしていいんでしょうかね? 

【土・日曜日に書く】政治部編集委員・阿比留瑠比 民主党が傾く「凡庸」路線+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121104/plc12110403360001-n1.htm

 いろんな評価があると思いますが、阿比留記者は文章が上手だとわたしは評価しています。ただ、書いてある内容がトンチキなだけです。文章がうまいのでトンチキでも説得されてしまいそうになるのですが、まあじっくり見ていきましょう。
 安倍晋三自民党総裁石原慎太郎新党代表・橋下徹大阪維新の会代表のタカ派三羽ガラス(変な表現ですね)を民主党が攻撃し、自らを中道・中庸と規定しつつあるのは、連合や日教組といった左派支持団体への配慮だという、解説にもなんにもなってない話で半分がた占められています。選挙にあたっては対立軸が必要なので、あきらかにタカ派の三人に対して左派寄りのスタンスを見せるのは、支持母体と関係なく当然ですし、明確に「リベラル」ではなく「中道」止まりなのはむしろ批判されるべきところでしょう。
 この先から、阿比留記者の筆力が冴えてきます。《日本の政界における中道勢力とは〔中略〕にも見える》という文章がキモで、中道=凡庸と決めつけながら、実際は「〜見える」と主観であることも明らかにしています。うまいですねえ。