黙然日記(廃墟)

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産経紙面の石原新党観。

 そりゃもう大騒ぎさ。

産経抄】10月26日 - MSN産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/politics/news/121026/stt12102603180004-n1.htm

【主張】石原新党 新憲法への流れ歓迎する 首相は年内解散を決断せよ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121026/stt12102603200005-n1.htm

 待望の石原・平沼新党結成表明に、あほかというぐらい大騒ぎしているのが産経新聞です。「新党を軸に保守勢力の結集を」とか。創生「日本」の安倍晋三氏は自民党総裁に収まり返り、日本創新党山田宏中田宏・斉藤弘各氏は橋下徹大阪市長率いる日本維新の会に頭を下げてようやく入れてもらった状態です。このメンバーと平沼赳夫氏(たちあがれ日本)が、日本を巣食う、じゃねえ、日本を救うネットワークと名乗って大々的にぶち挙げていたのは、もう2年以上前になります。その当時に石原新党が加われば極右の連携も可能だったでしょうが、もはやそんな時期ではないことも読めないぐらい、平沼氏と石原慎太郎氏は老いてしまったのでしょうか。そして、新党結成を諸手をあげて歓迎する産経新聞も、同じく時勢というものがまったく読めない存在ではないでしょうか。
 「父」としての石原氏を切り口に、日本には父性が必要なのだと説く「産経抄」は、先の自民党総裁選で石原伸晃氏が落選し、「首相の父」になり損ねたことが理由ではあるまい、と、ここだけは揶揄するようなことを言って、バランスの悪いコラムになってしまっています。ここは安倍氏が当選したことを受けて安倍自民と石原新党の連携という、あり得ない夢想を描いてみせた方が産経らしかったのではないでしょうか。ついでに、新党結成が《与党民主党の受けた衝撃の大きさは計り知れない》とまで持ち上げているのは、まるっきりの空振りっぽいですね。実際の民主党からの反応は冷淡でした。
 「主張」の方は、まず石原氏の憲法論議から入っています。しかし彼は、単に憲法改正を唱えているだけではなく、「現行憲法は無効」という立場です。そもそもそんな人が地方自治体の長を務めていたのが間違いなのですが、憲法無効論という、ラディカルすぎてほとんどの人に受け入れられないだろう主張のことには触れていません。保守側の憲法改正論だけを並べ立て、《〔野田佳彦政権も〕早急に具体的な改正案をまとめる必要がある》とミスリードしているあたりは、いつもどおりの「主張」ですね。政権批判といえば、《野田政権は尖閣を国有化した以外は中国に配慮し、何もしていない》というのもミスリードで、それだけでも十分すぎるぐらいトラブルの種になっているわけです。
 それにしても教育改革だの政界流動化だの、気持ち悪いぐらいの、というかはっきり気持ち悪いレベルの褒めそやしぶりで、この全国紙はいったい何をやりたいのだろうとすら思ってしまいます。石原新党設立宣言の段階でのこのはしゃぎっぷりが、いざ新党結成し合流するメンバーが明らかになった時点で、はじけ飛んでしまわないことを願います。いや、そうなった方が面白いんですがね(笑)。