黙然日記(廃墟)

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産経、9月から本気出す。

【主張】慰安婦問題 偽りの河野談話破棄せよ 国際社会の誤解解く努力を+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120901/plc12090103180003-n1.htm

 やらかしました。「いつもの産経」といえばそれまでなのですが、仮にも全国紙の社説でここまで堂々と歴史修正主義を主張すること自体、国際社会にひとつのメッセージを送ってしまったことになります。
 河野談話では「従軍慰安婦」という言葉を使っていることを問題視していますが、後世作られた(対象を明確にするための)言葉を使ってはいけないのなら、たとえば「初代天皇」という言葉も使えなくなります。「天皇」はもちろん「初代」という言葉も、当時は使われていなかったからです。河野談話には、「今ならばもっと的確に表現できるのに」という部分がたくさんありますが、それはしかたのないことです。1993年時点でのベストを尽くした談話として、細かなミスはミスとして、談話の大枠が継承されねばなりません。
 借金の取り立てを暴力団に依頼して、暴力団が脅迫などの強制をしたけど俺はその場にいなかったから強制はしてないよ、という理屈は、もちろん通用しません。依頼者が公権力ならなおさらですす。
 今回、河野談話見直し(破棄)を主張する人々として、橋下徹安倍晋三石原慎太郎松原仁各氏を挙げていますが、いずれも歴史の専門家ではないという以上に、札付きのリビジョニストです。
 「安倍氏」「安倍内閣」を主語にした文章が多くて、いつから産経新聞は安倍事務所の広報紙になったのだろうと驚かされます(いつからって、ずっと前からですが)。橋下氏から(軽くてパーな御輿を求める)オファーがあって浮かれているのでしょうが、見苦しいにもほどがあります。この「主張」自体がそのようなものですが、下野なう産経はいよいよ本気で特定勢力の配下になることを選択したとしか思えません。

産経抄】9月1日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120901/plc12090103160002-n1.htm

 いわゆる人権擁護法案について、ネットの噂や誤解曲解を真に受けたような話を、これまた堂々と開陳しています。「韓国の悪口を言えなくなる」ことだけやたら気にしているのが、ネトウヨレベルの証拠です。ていうか、今までのは批判じゃなく悪口のつもりだったのですね。
 日本国には言論の自由がありますから、なにに対しても正当な批判は自由です。ただし、名誉毀損は現在の法体系でも最悪で刑法罪、また民事での訴訟対象となります。人権擁護法が施行されようが、まったく変わりはありません。「民主党の悪口を書いたら逮捕される」と怯えるのは、自民党政権時代にそんなことをやっていた記憶があるからですか、産経さん。