黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経紙面の美女競演。他。

【主張】エネルギーと原発 世論で基本政策決めるな+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103320004-n1.htm

 エネルギー政策のような重要政策を、たとえば世論調査だけで左右してしまってはポピュリズムになりかねませんが、最終的には世論すなわち民意が国の基本政策を決めます。憲法改正のようなことでさえ、国民投票が最後の鍵を握るというのが日本国における民主主義のルールです。《高度で冷静な政治判断》を求める思考は、ある面で官僚独裁を生み、また独裁者待望論を生み出します。いずれにしても、民主主義のリスクを恐れる既得権益者のたわごとに過ぎません。
 どうあっても1年以内に衆参両院の選挙があり、そこで脱原発が争点になれば、民意は明確に示されます。それでも産経は、民意を無視しろと吠え続けるでしょうが。

【eアンケート】9条改正 「改正に賛成」92%+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120830/trd12083023580018-n1.htm

 例によってウェブ上の任意のアンケートなので、世論調査ではないことは明確にしておきます。注目されるのは、《自衛隊は合憲だと思うか》という質問項目で25%が「NO」と回答していることです。また、産経の主催した任意アンケートにしては92%という数字は低い、とも言えます。

【金曜討論】「憲法9条」 櫻井よしこ氏、福島瑞穂氏+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083107450007-n1.htm

 このアンケートを受けて、豪華組み合わせで討論(両者への単独インタビュー形式)が掲載されています。構成は内藤慎二記者。
 まず櫻井氏は、九条改正で国防軍を明記するのはもちろん、核武装にまで踏み込んだ議論をしています。次いで福島氏に、内藤記者は「尖閣諸島が攻められたら」との仮定をしつこく追求しますが、そのへんはうまくかわされているというか、そもそも産経新聞読者に社民党の考え方がまともに周知されていないので舌足らずな印象になっているというか、とにかく食い足りないという印象です。内藤記者を勉強不足だといって責めるのは酷というものでしょうか。この二人にご登場願うなら、いつもの「金曜討論」のフォーマットを崩してでも、じっくりページ数を取って対談してほしかったところです。

【正論】弁護士、衆議院議員稲田朋美 領土は歴史認識と二正面作戦で+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103290002-n1.htm

 もうお一方ご登場です。破壊力では先のお二方を合わせたよりも強力ですかね。
 韓国憲法裁判所の「日韓基本条約にかかわらず元慰安婦の個人請求権は消滅しておらず、韓国政府に解決の責任がある」という判決は、「韓国政府が賠償すべき」とわたしは解釈していたのですが、稲田氏によれば、この判決を根拠に韓国政府は日本政府に賠償を求めているのだそうです。法律家の解釈だからそちらの方が正しいのでしょうか。どうも釈然としないのですが。
 《日本の政府や軍が強制連行した事実はない》というあからさまな嘘や《当時は「慰安婦」業は合法だった》という印象操作的な文章で言い逃れをしている点も見逃せません。「広義の強制連行」や、人身売買や未成年者の売春が違法だったことを無視した言い草ですね。
 本論である、歴史認識と領土問題の関係は、なにを言いたいのか曖昧です。ロシアに対しては歴史的経緯を明確にして北方領土の領有権を主張することが大切ですが(これは尖閣諸島についても言えます、竹島については微妙な気もしますが)、領土以外の歴史認識では大きな争いは起きていません(たとえば靖国参拝にも、連合国の一員の後継者であるロシアは明確な抗議をしていません)。韓国および中国との間では、領土問題以外に、それと本来ならリンクしないはずの歴史認識問題が横たわっています。これをまとめて論じようとすること自体に無理があるのです。
 裁判所での争い方についてなにやら講義しているのですが、歴史認識にまつわる裁判で連戦連敗だった稲田弁護士の裁判戦術を説かれても、こちらはぽかーんとするばかりです。見出しの《二正面作戦》は、戦略としては下策とされていますが、稲田氏はやる気満々のようですね。稲田氏のボスである安倍晋三氏が政権を握ったら、どんなハチャメチャ外交が展開されるのか、それだけでもぞっとします。