産経「主張」の政治オンチ。

【主張】首相と原発デモ　会うなら毅然と説明せよ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120804/plc12080403150003-n1.htm

　日本国が代議制・間接民主制を取っていることはそのとおりですが、原発に関して、3・11以後の状況を踏まえた国政選挙は行われていません。民意を議会に反映させていない上に、原発再稼働は任期切れを待っていられない課題ですから、デモという手段で国会・政府に民意を伝えることもやむを得ないでしょう。
　《表面的な声の大きさを頼りにした「民意」を盾に首相に面会を迫り、自らの主張を突き付けていくやり方は、穏当な手法とはいえない》といいますが、暴力を使ったわけではないし、コネを利用したロビー活動が穏当なのと同じく、平和的なデモで民意を示し対話に持っていくことは、非難されるべきではないと考えます。さもなければ、デモという民主的活動そのものの意味が失われることにさえならないでしょうか。
　もうひとつ、産経「主張」の詭弁は、《党内の結束を図ることと、国のエネルギー政策を左右する原発再稼働をめぐる判断とは全く別次元の話である》にも現れています。別次元の話ではありますが、切り離せない話でもあります。個別の、しかし大きな政策的テーマについて党の意見をまとめられなれば、政党政治が成り立ちません。まとめる方法はもちろん強圧だけではなく、反対派の意見を一部採り入れることも当然の選択肢として含まれます。この産経「主張」は、政治というものがまったくわかっていないと言ってしまってもよいでしょう。