黙然日記(廃墟)

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産経記者の数字観。

【from Editor】「数字」報道の氾濫に思う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120601/trd12060107400000-n1.htm

 小林隆太郎編集委員が、「数字」について意見を開陳しています。地球温暖化放射線被害、都市圏地震に関する予測値が、幅がありすぎる。そのうち最大の被害をもたらす「数字」だけが一人歩きして過剰な報道になっているのではないか、というのですが、さてさて。
 産経の紙面では(産経に限りませんが)、「リスク」という言葉を誤用した文章が目立ちます。単に「危険」の同意語だと思っているふしがあるのですが、小林記者の文章逆に、「リスク」という言葉を使わないことで、「リスク」という概念を理解していないことが明らかになってしまっています。予測に幅があることは、科学的知見の不足からではなく、「科学的予測」というものに本質的につきまとう性質であることも理解していないようです。その幅のうち、最大の被害を想定して対処しておくのが「リスク」の意味だということも、わかっていないのでしょう。
 報道に関して最大値が一人歩きしているという指摘は、報道人として必要な自覚ですが、こうした「予測」「リスク」に関する知識を持った上で正確な報道を心がけるのでなければ、単に温暖化問題や放射線問題への反動的な姿勢を示しているだけだと言われても仕方ないでしょう。産経記事が数字に弱い理由の一端がつかめたような気がします。