黙然日記(廃墟)

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産経、改憲になんか入れる。

【欠陥憲法】(4)家族・教育 「個人」「権利」偏重で荒廃+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120502/plc12050217330009-n1.htm

 個人を否定する全体主義が大好き産経新聞の主張には、ほとほとうんざりさせられます。正しい個人主義とはエゴイズムではなく、自立した個人を基礎に社会や国家が成り立つと考えるものです。個人を抑圧した明治憲法下からの解放を目指した日本国憲法の記述はその意味で正しいし、自立への圧力が未だに高い日本社会の現状を考えると、これらの条文を変える必要はまったくないと考えられます。
 産経は要するに諸悪の根元を(勘違いによる)個人主義に求め、イエ制度の復活を目論んでいるのでしょう。両性の合意のみに基づく婚姻制度を否定するとしたらそれ以外に考えられませんが、家父長制のメリットというものをわたしはまるで思いつきません。あるとしたら男尊女卑の復活であり、なんの益もないばかりか日本国民の半数から活力を奪い去る、国益毀損の制度です。国家の基礎が社会、社会の基礎が家庭であるなら、家庭の基礎は個人です。個人なくして家庭も社会もあり得ません。
 憲法は、ひいては近代国家は、主権者国民が国家と契約し、制約を課すためにあるものです。その根本がわかっていないから、「権利偏重」などとわけのわからないことを言い出すことになります。家庭や教育も本来個人のものであって、それを社会的にすりあわせるために法律の規定が必要になるのですが、根本的な「国民主権」を理解していないからこんなわけのわからない記事を書き散らすことになってしまうのです。
 この記事(小島新一記者)にも、八木秀次高崎経済大学教授がコメントしています。全5回の連載のうち2回で同じ人物がコメントする異常さを、編集部はなんとも思わないのでしょうか。事前に記者のあいだで「八木氏のコメントは俺が取る」「いや俺が」「どうぞどうぞ」みたいなすりあわせはやらなかったのでしょうか。なんの疑問も持たず2回答える八木氏も八木氏です。