黙然日記(廃墟)

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産経、憲法案を比較する。

憲法の焦点(1)】=前文編=中曽根康弘元首相「『日本色』は当然」+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120401/plc12040121270016-n1.htm

 厳密には1日付記事ですが、また調子こいておかしな連載を始めています。いちおう注目していきましょう。
 中曽根氏へのインタビュアーは今堀守通、内藤慎二両記者。内容は自慢話みたいなものでどうでもいいのですが、プロフィールの《なお政界に大きな影響力を持つ。93歳》が笑わせてくれます。
 中曽根氏が2005年自民党憲法草案の新憲法起草委員会「前文」小委員長として提出した案と、実際の草案、そして今回2012年の原案などが対比引用されていて、これは資料として貴重かもしれません。

憲法の焦点】自民党憲法草案「中曽根前文原案」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120401/plc12040121300017-n1.htm

憲法の焦点】自民党憲法草案の「前文(修正後)」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120401/plc12040121310018-n1.htm

憲法の焦点】自民党憲法改正推進本部の「前文案」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120401/plc12040121330020-n1.htm

 こうして一直線に並べてみると、中曽根原案がいちばんまとも、という気がします。我田引水国粋的な匂いはぷんぷんしますが、それを除けば。というよりも、他2案がひどすぎるのです。それぞれから一部引用します。

  • 中曽根案
    • 《国を愛する国民の努力によって》
  • 草案
    • 《日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し》
  • 原案
    • 《国や地域や家族を責任感と気概を持って自ら支え》

 中曽根案では「国を愛する」ことは当然の前提とされていて、強制ではありません。それに対して草案では、《愛情〜をもって自ら支え守る責務》があるのだそうです。愛する責務ってなによ。原案ではさすがに「愛情」は削られていますが、責任感や気概も内面の自由に関わることには違いありません。また「家族」という余計なお世話も付け加わっています。憲法が国民から国家への命令であり、その逆ではないことを、まったく理解していない文面です。