産経と自民党の改憲案。他。
【産経抄】３月２８日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120328/plc12032803180003-n1.htm
昨日の紙面を受け、自紙の憲法草案へ向けての決意表明のようなコラムです。「平和憲法だけで平和が守れるなら、台風の襲来も憲法で禁止すればいい」という、わりと有名な言葉を引いて、現憲法を非難しています。そう言いながら、《９条を改正して反撃力を持つことこそが、横暴に対する最大の「抑止力」となる》と、憲法改正さえすれば他国からの侵略は起きないかのように言うのですから、ついでに改憲案で地震も禁止しておけばよろしいかと存じます。《もちろん「大災害禁止」と書くわけではない》と予防線は張っていますが、九条に関する理屈はどう読んでもそういうことです。
新聞社が憲法草案をまとめることについて、《本来、政治が果たすべき役割だが、その動きは鈍い》とその理由を述べています。自民党による改憲案策定が進んでいる現在、なぜわざわざこうしたことを付け加えるのかも、注意が必要です。おそらく、自民草案にあった極右的色彩が、党内審議を経て薄められていくことを考慮して、より極端な草案を示しておく必要性を感じたのでしょう。来年6月というタイミングは、自民改憲案が提出されるスケジュールを睨んでのものかもしれません。はたしてどんな代物を出してくるつもりなのか、ますます期待が高まります。
３０日に修正案を提示 自民憲法改正原案 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120328/stt12032812190004-n1.htm
その自民改憲案について、ちょうど今日、こんなニュースが出てきました。産経改憲案はただ笑って見ていればいいのですが、こちらは実際に国会に提出される可能性が高く、もしかしたらそのとき自民党が300議席を確保している可能性がないわけではないので、より慎重な監視が必要です。3月3日の原案*1を元に意見を集約していくようですが、修正の対象となるのは「前文」「天皇」「安全保障」「緊急事態」の4章で、「国民の権利および義務」などは原案そのままでいくようです。選挙権の国籍条項や、政教分離の弱体化、家族条項の新設などはそのままということです。これだけでも、この自民党改憲案がどれほど憂うべきものであるかは明らかでしょう。メディアなどの反応が鈍いのが、不思議でなりません。
【高校教科書検定】「３０万人犠牲は誇大」 南京事件で中国主張初否定＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120327/edc12032722040005-n1.htm
さて、改憲と並ぶ産経新聞の最大の関心事が、教育問題特に教科書検定です。発表された高校教科書検定結果についていくつも記事を出しているのですが、つらつら眺めてみましょう。まず、南京事件について。
《戦闘による死者は万単位であっても、民間人の大量虐殺はなかったことが判明しつつある》とか寝ぼけたことを言いつつ、30万人説にこだわって追求しています。現在は主に中国が唱える数字となっている30万人説は、対象となる時期や範囲が違うので、極端な言い方をすれば別の事件に関する数字のようなものです。そういう意味では、同じ記述の中で30万人説と数万人説を並べて「諸説」扱いしている教科書もどうかと思うのは確かです。もちろん産経にそんな視点はなく、30万人説を否定的に扱う教科書があったことを大喜びしているだけです。最後にオチの役割として、藤岡信勝氏が登場し、「《諸説があることの記述を求めるなら、虚構説の記述も求めるべきだ》」と笑わせてくれます。ID論かよ。
【高校教科書検定】国旗国歌を「強制」 不適切記述相次ぎパス＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120327/edc12032722060006-n1.htm
産経の考える「不適切記述」について、いろいろ並べた記事です。国旗国歌を強制する動きがある、という事実の記述があれば「不適切」、米軍専用基地の75％が沖縄に集中しているという記述も「不適切」、沖縄集団自決もどうやら記述するだけで「不適切」らしいです。
【高校教科書検定】修正で「反原発」を色濃く出す可能性も 注視必要 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120327/edc12032722330008-n1.htm
こちらはもっと飛ばしています。東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故に関しては、まだ各社とも簡単な記述しかできていない段階ですが、今後の修正で反原発をイデオロギー的に記述「するかもしれない」という内容です。これは、飛ばした内容の記事というより、ほとんど飛ばし記事（予測に基づくでっち上げ記事）のたぐいじゃないですか？
