産経、叛旗を翻される。他。

【ｆｒｏｍ　Ｅｄｉｔｏｒ】安いエネルギー取り戻せるか＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120316/biz12031608130014-n1.htm

　池誠二郎・フジサンケイビジネスアイ副編集長のコラムです。見出しだけ読んで、「ああまた『原発は低コスト』宣伝か、とっくに破綻してるのに」と思ったらさにあらず。原発再稼働の可能性についても検討しつつ、現実には難しいことを認識し、再生可能エネルギーを中心にいかに高コストを克服するかを論じています。日本の電力供給が火力頼みになったことで増えるコストを《年間１兆円を超える燃料費を上乗せ》とするなど、産経新聞本紙の論調とはかなり異なっているようです（産経ではこういうとき、総額の3兆円をすべて余計なコスト扱いします）。池記者がどのようなつもりかはわかりませんが、身内から叛旗を翻されているようで、なかなか痛快ですね。

【主張】「児童手当」合意　バラマキを継続するのか＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120316/plc12031603090000-n1.htm

　こちらは産経の通常運転です。三党合意では、名を捨てて実を取った民主党よりも、名称を昔に戻してよしとする自民・公明両党の間抜けさがより際立ちました。それでも当初予定より半額以下になっていることは事実で、残念と言うしかありません。
　産経は子ども手当を《不要不急の予算》としていますが、少子化対策が焦眉の急であることは言うまでもなく、そのためには子供一人一人を厚遇する政策が有効であることは、フランスなどの例を見ても明らかです。また、旧児童手当も金額が違うだけでバラマキ政策と言えば言えるのですが、これについては誰も文句など言っていませんでした。「社会が子育てする」という文言への過剰反応も、自民や産経らしいといえばらしいのですが、あまりにもイデオロギッシュで引いてしまいます。社会が子育てに責任を持たなくていいのでしょうか。

中井元拉致担当相、北と極秘会談へ　日本人妻帰国を協議　北の攪乱との懸念も＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120315/plc12031508210006-n1.htm

　これは15日付の、おそらく産経のスクープでした。中井洽・元拉致問題担当相がモンゴルで北朝鮮高官と接触予定という内容です。拉致問題ばかりが脚光を浴びますが、日本人妻の帰国も重大な人権問題であり、その進展が図れるなら望ましいことだと考えます。と同時に、こうして事前に報道することで「極秘会談」の意味がなくなってしまうことを危惧していました。
　案の定です。野党などの反発を受け、今日になってこういう結果となりました。

中井氏モンゴル入りせず - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120316/kor12031621540006-n1.htm
朝日新聞デジタル：民主・中井氏、モンゴル行き断念　ＮＧＯ関係者が接触へ - 政治
http://www.asahi.com/politics/update/0316/TKY201203160283.html?ref=rss

　産経と一部野党は、今回の極秘会談を潰したかったとしか思えません。拉致問題の（圧力による）解決以外は北朝鮮との交渉を認めないという姿勢でしょう。しかしこれにより、日本人妻の帰国も叶わなくなる公算が大きくなりました。いったい彼らは、この人権問題をどう考えているのでしょうか。
　一方で、あの中井氏というところから不安もあったのですが、朝日記事によると《昨年７月と今年１月の両氏の会談に同席していた拉致問題に詳しいＮＧＯ関係者》なる人物が存在し、今回代理を務めるようです。まさか救う会やらではないだろうと願っていますが、たいへん心配です。