黙然日記(廃墟)

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産経抄の平均観。

産経抄】2月27日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120227/trd12022703300000-n1.htm

 「大学生の4人に1人が『平均』の概念を理解していない」という報道は話題を呼びました。出題の意図をよく調べてみると、平均の「意味」や「知識」ではなく「概念」を問うものだったようで、これは社会人でも怪しい人がけっこう多いのではないでしょうか。産経抄子の場合はどうでしょう。
 まず、「平均」の例として野球のチーム打率を挙げていますが、失格です。強打者がいるのに得点できないのは偏差の問題で(もちろんラインナップとか戦術とかいろんな要素がありますが)、平均とは密接な関わりを持っていますが、チーム打率は各打者の打率を平均したものではありません。加重平均をとれば結果としては同じになりますが、概念として違います。
 また、先に述べたように、この出題は「知識」ではなく「概念」を問うもので、《「平均」の意味を理解していない》という表現は、本当にこの問題の意味を理解しているのか危ぶまれます。ま同じように、数学オリンピックで日本人が優秀な成績を上げていることを持ち出しているのも、頓珍漢と言うべきでしょう。数学オリンピックは、数学の知識ではなく使い方を問うものですが、抄子はこれをペーパーテストの延長線上にあるものと勘違いしているのではないでしょうか。全体として、「数学といえば知識と計算力だけ」と思いこんでいるようにしか見えません。「理解していない」という点では、平均の「概念」を答えられなかった学生たちを笑えないのではないですか。