黙然日記(廃墟)

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産経抄の長寿観。

産経抄】2月20日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120220/imp12022003060001-n1.htm

 今上のご長寿を願う気持ちに変わりはありません。とはいえ、2月に入ってから「神武以来125代」の電波を飛ばしまくっている産経が、こんどはこういう理屈を持ち出してきたことには笑ってしまいます。『三国志』に(つまりいわゆる『魏志倭人伝』に)「倭人は春と秋に年を数える」という記述があることから、上古の天皇の年齢は「168歳」と書いてあっても実際には84歳だったのだ、というのです。それにしても平均寿命の短い時代としては不自然な感が否めませんが、多少は納得できる数字にはなります。これですべて解決か、といえばさにあらず。まず、「紀元前660年に神武天皇が即位した」という記述との矛盾が生じます。年2回加齢説を採るなら、「2672年の歴史」という言い方はもうできません。また、コメント欄でモグさんのご指摘ですが、倭人が正しい暦を知らない時代に神武天皇が「正月朔日」に即位したという記述も、矛盾になってしまいます。そして、上古の天皇の年齢をそうやって解釈したとしても、せいぜい西暦紀元前後に近づくだけで、考古学的証拠とは相容れません。
 珍説のたぐいと言うべきでしょう。これは《古代史家、八木荘司氏》の説として紹介されています。《実に新鮮な説》と評価していますが、古田武彦氏も同じ説を唱えているようです。で、八木氏のプロフィールを調べると、「産経新聞社編集特別委員」という肩書が出てきます*1古森義久氏と同職ですね。なにをかいわんや。