黙然日記(廃墟)

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産経の選挙介入観。

【くにのあとさき】東京特派員・湯浅博 気がつけば土地セールス - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120203/plc12020303140002-n1.htm

 谷垣禎一自由民主党総裁が、人民日報のインタビューに対し、「日本人も外国の土地を買い漁ってきた、中国資本が日本の土地を買っても問題ない」と発言し、それが掲載されたという話を伝えています。谷垣氏側は「誤解があった」としてネット版ではこの発言は削除されているそうですが、似たような発言はあったのじゃないですか。そして湯浅記者は例の「土地が危ない! ぎゃーすか」というわけですが、なんだかねえ。
 産経新聞の東京特派員・大阪特派員という制度は、大阪本社から東京へ、また東京本社から大阪へ、記者を「特派」して、従来になかった視点で国内を見つめるという、ユニークな仕組みです。仕組み自体は評価できると思いますが、大阪特派員が何人も交代してそれなりに機能しているのに対して、東京特派員はずっと湯浅記者一人で、ごらんのとおり、「今までの産経東京本社になかったユニークな視点」など薬にするほども見あたりません。少なくともちゃんと異動をしないかぎり、仕組み自体が破綻していると言われても仕方ないんじゃないですか。単に、大阪本社の社員が「あの東京本社なんかに行くのは嫌だ」と逃げてしまうのかもしれませんが。

産経抄】2月3日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120203/plc12020303080000-n1.htm

 沖縄防衛局長の選挙介入問題に関して、「よばい」「杓子定規」の語源を引きながら論じています。えっ? と思われるでしょうが、読んでみても疑問は解消しません。本論と全然関係ない解説をしているだけです。これでコラムのつもりなのですから、いい気なものですね。
 本論の方は例によって辺野古沖移転一本槍、沖縄の地元住民に文句は一言も言わせるな、です。多少の選挙違反がどうした、とも言わんばかりです。なんといっても異常なのが、昨日のエントリでも取り上げた*1宜野湾市の労組も選挙活動をしている(だから沖縄防衛局長がやってもいいじゃん)という記事を取り上げるのに、宮本雅史那覇支局長の名前を出しているところです。他社や海外紙の記事を引用したり、あるいは先輩記者の名前を引き合いに出すのならまだわかりますが、自社の現職記者の名前にこんな形で言及しているのは、新聞の一面コラムとしては異様としか思えません。もしかしたら本気で、労組の選挙活動を“大スクープ”だと思いこんでいるのでしょうか。ちょっと、こういってはなんですが、正気を疑わざるを得ません。

【主張】沖縄局長「講話」 防衛相以下タガ締め直せ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120203/plc12020303130001-n1.htm

 こちらも同じ問題を取り上げていて、さすがにトーンは比較的冷静なのですが、やはりこちらでも労組の選挙活動に言及しています。宮本記者の“大スクープ”だと思いこんでいるのは、いよいよ本気のようにしか見えないのですが、いったい産経は今までの選挙報道でどういう取材をしてきたのでしょうか。

 もしかして、4日付あたりで「実は労組側も職務時間中に選挙活動を!」という続報がくれば、いちおう本物の「スクープ」と呼んでもいいでしょうが、どうやらそんな気配もなさそうです。まあ、そんな話があったとしたら小出しにする意味はないんですけどね。