黙然日記(廃墟)

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産経抄、錯乱する。他。

産経抄】1月31日 「東海」併記法案、すんでのところで… - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120131/edc12013103080000-n1.htm

 ほんとに錯乱状態としか言いようがありません。ツッコミどころが多すぎて、どこから手をつけたものやら。まず、見出しが付いているのからして異常です。何かを予感させます。とりあえず、一段落に最低一カ所はツッコミどころがあるので、段落分けしていきましょう。
 ▼《米国首都のお膝元、バージニア州》って、お膝元の隣だろうとか、北朝鮮政権ならともかく《韓国政府の言い分通り》が米国で通用することのなにが悪いのかとか、そもそも併記で教えるのだから韓国政府の言い分(「東海」てあって「日本海」ではない)じゃないだろうとか、最初の1文*1だけでこの調子になってしまいます。
 ▼そこから5年前の(もうそんなになるんですね)慰安婦問題決議に話が進みます。あれは、意見広告「THE FACTS」を始めとした、自爆史観側のまさに自爆だったわけですが、よほど痛い思い出になっているんでしょうね。《何より日本国民を侮辱する内容》だとしていますが、日本国民であるわたしは、どうも侮辱されたようには感じません。恥辱は覚えますが。
 ▼マイク・ホンダ議員が中国系実業家から献金を受けていたことの、なにが問題なのかもわかりません。慰安婦問題は主に日韓間の問題ですが、当時コリア系米国人コミュニティは動いていませんでした(少なくとも産経や古森義久記者の報道にはほとんど登場しませんでした)。中国系団体から支援を受けていたといっても、決議案(産経は《法案》と書いています)となんの関係があったのかも不明です。ホンダ議員がベトナム系市民の支援を受けていることも明らかで、それが別に隠されてもいませんが、同じレベルの話です。
 ▼《日本の国際的地位を貶める企みはまだまだ続きそうだ》などと妄想に駆られていますが、いちばん貶めているのは、産経をはじめとした歴史修正主義による妄言、歴史的事実に対して「あれはなかった」「これは正当だ」と言い張る態度です。
 ▼1945年までの日本(大日本帝国)は、米国の敵でした。自由と民主主義にとっての敵だったのであり、その矛先は近隣諸国とともに自国民にも向けられていました。このシンプルな事実を直視できないかぎり、合理的に日本の近現代史を解釈することはできません。
 ▼政治家に対し、違法でないかぎり献金やロビー活動をして政治的な主張を通そうとするのは、あたりまえの行為です。韓国系米国人は韓国人ではありません、米国人です。ただし、民族としてはコリアンとしての矜恃を保っています。これは日系米国人、442連隊などについても同じことが言えます。このnationとethnicの区別が付かない産経の世界認識がいかにレベルの低いものであるか、いくら言葉を尽くしても足りることはありません。

【主張】外資の土地買収 国の安全守る抜本対策を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120130/plc12013003150001-n1.htm

 30日付で取りこぼしていましたが、あらためて。
 「対馬が危ない」「水が危ない」に続いて、というか総括して、こんどは「基地周辺が危ない!」だそうです。沖縄在日米軍基地の隣に中国系不動産屋ができたことと、例の対馬の海自基地隣接地にある韓国系リゾートホテルをいっしょにして、スパイだスパイだ、有事には妨害行動をするに違いない(どうやって?)水源地取得から今度は直接軍事行動に出てきたのだ――と、言いたい放題です。nationとethnicの区別が付かない人は実は少なくないのですが、economyとの区別までつかないようになると、もう完全に妄想と言わざるを得ません。「民間がやっていること」という概念がないのでしょう。バブルのころ、日本企業が世界中の、ロックフェラーセンターなどを含めた象徴的な不動産を買い漁った、あれは日本国政府による世界征服の野望だったのですか。そんなことはないでしょう。
 そもそも、中国政府が金の力で日本に足場を築くなら、もっといくらでも旨いやり方があるわけで、そんな合理的な思考もできなくなるのが妄想の特徴です。妄想でなければ、売らんかなの商売右翼行為ですね。

拉致相、安倍氏らと会談 対策本部強化を協議 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120131/plc12013117280013-n1.htm

 松原仁拉致問題担当相が、やはり安倍晋三氏と手を結ぼうとしているようです。先日の中井洽元担当相による北朝鮮側との会談で、せっかく一歩踏み出したと思ったのですが、この様子だと、野田内閣での拉致問題解決も不可能になりそうですね。残念きわまりません。

*1:厳密にはその前に《危ない、危ない》という文句が入りますが、これもどうかと。