産経抄のリスク観。他。

【産経抄】１月２４日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120124/dst12012403200006-n1.htm

　《結核という病気は》と始めながら、日本に限定した話で《最初の患者》などと続けるので、読む方はものすごく混乱しました。読み返してみて、変だと思わないのでしょうかね。
　あとは病原体からテロ、地震、放射能といった「リスク」と同居せよ、という主張。これらすべてを切り分けせずに「リスク」とまとめてしまうのがまず乱暴です。避けられる恐怖もあれば（この地に住んでいるかぎり）避けられない恐怖もあります。実現可能性の意味を含む「リスク」という表現が適切でないことも指摘せねばなりません。

知人の保険証使用、詐欺容疑で女を逮捕　大阪 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120124/osk12012402120003-n1.htm

　メディアリテラシーの入門に最適な記事です。
　この産経記事の本文を読んでも、なんだかわかりません。けちな詐欺事件のようですが、なぜ新聞で報じられているのでしょう。ここで注目すべきは、容疑者の肩書きが《市民グループ代表》となっているところです。関連キーワードで検索すると、読売のこんな記事が出てきます。

他人の保険証で受診容疑、市民グループ代表逮捕 : 社会 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120124-OYT1T00292.htm
　●●容疑者は、「在日特権を許さない市民の会」などと連携し、韓流ドラマを放送するテレビ局への抗議行動をインターネット上で呼び掛けるなど、各地でデモを行っている。〔伏せ字は引用者〕

　チーム関西の中の人でした。産経記事にはこのへんがまったく触れられていないわけですね*1。
　それにしても、在特会系活動家の別件逮捕は（転び公妨レベルは別として）初めてではないかと思います。しばしば、極左活動家が万引きとかキセル乗車とかの微罪で捕まって大きく報じられますが、公安警察からは同レベルに扱われるようになった、ということでしょうね。

皇室を「王家」　適切なの？　ＮＨＫ大河「平清盛」に疑問の声＋（1/4ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120124/art12012411250003-n1.htm

　疑問の声に対して、時代考証を担当した本郷和人氏の寄稿で解説しています。ふだんなら「ネット世論」の尻馬に乗ってNHKを叩いていたところでしょうが、本郷氏が産経でコラムを連載している関係で、擁護側に立たざるを得なくなったというお笑いの一席。
　「皇室」「天皇家」といった用法が主に明治以後の新しいものであることは言うまでもありません。産経的には、明治以後なら「古くからの日本の伝統」ということになってしまうのですが、今回はそれもできず、残念でした。

*1:産経としてはフジテレビ抗議デモの存在自体を隠蔽したいのだ、という見方もできますが。