黙然日記(廃墟)

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産経安藤記者の新春。

 新聞休刊日ですが、電子版には良いネタがあります。正月早々、「安藤慶太が斬る」の三連続という、ほとんど身を張った嫌がらせとしか思えないような企画に産経新聞が挑んでいます。

【新春・安藤慶太が斬る】(上) 原発を即刻再稼働すべきである+(1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120101/trd12010112010004-n1.htm

 元日付の(上)は、まあ産経の安藤記者ならこう言うだろうなあ、というような内容が、《プロ市民》とか《食指を伸ばす》とか《大文字焼き》とか怪しげな表現とともに述べられています。
 いまだに、原発のコストは安全対策を考えなければ安いとか(考えろよ)、大津波を想定していなかったのは原発だけではないとか(津波で停まったわけではないのですが)、現実を認識できないような物言いをしているのも面白いところです。
 《恣意的なメディアによる原発バッシングが結局は、自分たちの社会の首をしめていることにほかならない》という指摘については、「原発バッシング」をたとえば「対馬が危ないキャンペーン」に入れ替えて読んでみるのもいいでしょう。料金値上げを求める東電へのリストラ要求がなぜ《天に唾する》ことになるのか、まるで説明がありません。

【新春・安藤慶太が斬る】(中) 何度でも言う 朝鮮学校を無償化対象にしてはならない+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120102/trd12010212010008-n1.htm

 こちらも《違和感を感じる》とか面白い表現が出てきます。
 朝鮮学校北朝鮮のための学校であるのに、日本国の学校法人の資格を持っていること自体がおかしい、と論じていますが、なにがおかしいのかわかりません。安藤記者の考え方がおかしいのでしょう。たとえば100%外資で、本国に送金するためだけの企業が、日本の法人格を取らなくて良いという理由はありません。なんでそんな発想ができるのか不思議です。朝鮮総聯の影響、事実上のコントロールを受けていることが学校としておかしいとも言っていますが、宗教系ミッションスクールが事実上宗教団体に影響を受けていることには文句を言わないのでしょうか。
 また、日本国の補助金をもらうのは朝鮮学校に資することにならない、とも論じていますが、あくまで学校側に立った視点です。朝鮮学校無償化は保護者に補助金を与える制度だということを忘れているのは、安藤記者自身ではないでしょうか。
 「瀬戸際外交」という言葉は、核カードを使うことよりむしろ、飢餓状態ぎりぎりであることを利用して援助を引き出す手法のことを指していたと想うのですが、いつのまに意味がすり替わったのでしょう。それにポジティブな印象を受けるのも、そもそも安藤記者の勘違いです。
 全体に、なぜこの程度の知識と考察力で原発や無償化といった複雑な問題に言及しようと思えるのか、繰り返しますが、おかしいところ、不思議なところだらけです。明日の(下)も楽しみなところですね。