黙然日記(廃墟)

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産経の環境観。

産経抄】12月13日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111213/dst11121302470000-n1.htm

 まめちしきー。スモッグ(smog)といえば今は光化学スモッグのことですが、元々はかつてロンドン名物だった黒い霧で、石炭の煤煙(smoke)と霧(fog)からの合成語です。大気汚染物質というと、こうした目に見える煤煙のたぐいと、光化学スモッグの原因物質のように目に見えない有害物質を合わせた概念ですね。現代日本で、工場などから目に見える煙が排出されているのを見て有害物質ではないかと不安がる人がいますが、あれはたいていただの水蒸気です。有害物質垂れ流しの工場なんか、いまどきないでしょう。
 さて、大気汚染について考えてみましたが、ここに二酸化炭素(CO2)排出というややこしい問題が絡んできています。地球温暖化の原因になる(のではないか)とされる物質ですが、もちろん大気汚染とはまったく関係ありません。水蒸気と同じく、我々が呼吸する空気に0.何%か含まれていてあたりまえの物質です。ただ、地球環境全体で見た場合はその0.何%のさらに何%かの増加が影響があるのではないか、という話です。空気中に0.0001%(1ppm)含まれていたら大問題になる汚染物質とは、まさに桁違いのカテゴリーに属しているのです。
 しかしどうやら、ロンドンや北京のスモッグとCO2の区別もつかないらしい抄子には、こんなことを言っても馬耳東風、いや馬の耳に念仏でしょうね。あるいは意識的に、中国のCO2

【主張】COP17閉幕 25%削減の公約は撤回を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111213/plc11121303190006-n1.htm

 「主張」もCOP17の話です。新体制の枠組みが決まらず京都議定書延長となり、それに日本も含め造反が出たことを、すべて新枠組みを拒否した中国など新興国の責任にしていますが、米国の責任には直接触れていないのが奇観です。また、二国間の排出量取引を賞賛するようなことを言っているのも、これはむしろ 奇態けったいと言うべきでしょう。
 《(25%削減目標は)東日本大震災原発の停止によって非現実化している》と、都合のいいときだけ原発停止を前提にした論説を張るのですから、いい気なものです。ふだん主張しているように原発かどうを再開すれば、目標は取り下げなくていいことになりますね。なお、原発停止分は再生可能エネルギーで補うという前提に立てば、255削減との両立は(理屈の上では)可能になります。
日本の省エネが進んでいるのは電力料金などのエネルギーコストが高いからで、それは原発を主力とする発電システムのもたらしたものです。また、「電力料金が高ければ企業が海外脱出し空洞化が進む」というのも虚構であることがわかります。