黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経野口記者の可能性観。他。

江氏死去誤報で制裁金 香港TV局に300万円 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111205/chn11120513560003-n1.htm

 ここが日本で、本当によかったと思います。誤報(と政府が認定するもの)を怖れて報道が萎縮することがあってはなりませんから。
 もちろん、事実として誤報が確定した場合は即座に謝罪する責任が、誤報を怖れない自由にはついてくるのは言うまでもありません。

「“ドS”女性検事に翻弄されたカリスマ評論家」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/537275/

 記事一覧を見ていてこの見出しが目に止まり、腰を抜かしました。あれはこっそりやるからいいもので……いやゲフンゲフン。「ドS」「ドM」は最近は流行語としておおっぴらに使われていますが、本来は秘め事隠し事なので、こういう記事に堂々と使うセンスが信じられません。見出しで「生下着」とかやらかした新聞社ですから、いまさらなのかもしれませんが。
 ついでに記事の方を読んでみたら、これがちょっと興味深いものでした。【法廷から】という記事のルールとして被告の実名を出していないのでしょうが、《サンラ・ワールド》まで書いてしまったら実名と同じです。かつて書評欄で『またもやジャパン・アズ・ナンバー1の時代がやってくる』を宣伝記事にしていた産経の*1増田俊男氏に対するこの扱いも、なんだかなあという感じです。

【正論】ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター ジェームス・E・アワー - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111205/chn11120503060000-n1.htm

 おなじみのアワー氏です。産経「正論」欄のまとめをいったん横書きにして、それをまた翻訳したような(いや、それすらやっているのかも怪しいですが)、まるで役に立たない内容ですね。この界隈ではおなじみの中国脅威論をソースロンダリングして、「米国でも中国脅威論は盛んだ、日本の鬼気だ」と唱えるための、下準備といったところでしょうか。
 「正論」メンバーに外国人の視点を含めるのはよいことですが、不思議なことにアワー氏以外まったく見かけません。石平氏帰化前の金美齢氏も登場していないというのは、なぜなのでしょうかね。

野口裕之の安全保障読本】日米VS中国 軍事衝突の現実味+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111205/plc11120513090008-n1.htm

 連日ですが、のぐっちのコラムを。《米国では、権威あるシンクタンクが相次いで中国との軍事衝突の可能性を公表した》ってのは、たとえばこれですね。

「米中戦争は相互に重大な損害 可能性は少ないと米専門家指摘」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/537102/

 ちなみにこれは《ジャーナリストの古森義久氏が解説する》という記事です*2。こもりんとのぐっちで、ランド研究所のリポートなど同じソースに使いながら、見方がまるで違うわけですね。
 「可能性」を考えることと、それに「現実味」があることとは、かなり意味が違います。この点では、古森氏の見解が正鵠を射ているというべきでしょう。
 のぐっち記事による米ランド研究所のリポートでは、日中衝突の「可能性」の背景として、中国にある戦前日本への怒りと、それに対する日本側の無神経な言動を指摘しています。野口記者はこれをしれっとスルーしていますが、無神経さの張本人が、何をやっているのでしょうか。まあ、スルーしている点ではこもりんも変わりませんが。

*1: d:id:pr3:20080124:1201179845 参照。

*2:上の裁判記事もそうですが、見出しで引っかかっていた記事を、ここで引用するために読んでみたら知った名前が出てきてびっきり、というパターンでした。