黙然日記(廃墟)

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「産経抄」「主張」各々の生活保護観。

産経抄】11月21日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111121/trd11112103290000-n1.htm
【主張】生活保護激増 安易な「風潮」を戒めたい - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111121/trd11112103340001-n1.htm

 生活保護者205万人のニュースを受け、「産経抄」は社会面の連載を元にそのセーフティーネットとしての役割を強調しているのに、「主張」の方は配慮するふりをしつついつもの産経という、おかしなことになっています。
 どちらかというと「産経抄」がいつもの産経新聞の論調ではないためにこうなっているのですが、それだけ、こうした問題に関しては社会面とふだんの論説欄の乖離が激しく、論説論には弱者の視点がまったくないということを意味します。
 メディアとして自省しているのも珍しいのですが、冷酷な行政の問題と不正受給の問題はいずれも糾弾すべきで、報道に値することでしょう。それ以外として挙げているのが「ちょっといい話」系なのですが、これはどうでしょう。生活保護から脱して地道に働き寄付までできるようになった人の話は心温まるものがありますが、誰しもそうなるべき、という論調になってしまうと、ちょっちが宇な、と思います。ほとんどの受給者はその立場を脱しようとして、それがかなわぬことに無力感を抱いているのでしょうから、せっつくような真似は控えるべきではないでしょうか。メディアに求めたいのは、普通の受給者がどういう生活を送っているのか、そこに問題はないのか、というあたりでしょうか。特殊ではなく、平均的な例を。
 「主張」の方は、政府に雇用対策を求めるなど少しはいいことを言っているな、と思ったら《「年越し派遣村」が注目を集め、申請に抵抗感が薄まったことなどが遠因との指摘もある》とかいきなりとんでもないことを言い出します。この部分に、[要出典]のタグを貼りたい気分です。続けて《自治体は厳格な支給審査に努め、不正に対しては断固たる対応を取らなければならない》と、いつもの論調に戻ってしまいます。お役所仕事で間口を狭くしたら、最後のセーフティーネットが機能しなくなることぐらい、わからないのでしょうか。